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 トヨタ自動車は、新東工業と共同開発したアルミニウム(Al)合金の鋳造技術で「第66回(令和元年度)大河内賞」(主催:大河内記念会)の「大河内記念生産賞」を受賞した(図1、ニュースリリース)。新技術は、エンジンのシリンダーヘッド向けに開発したもので、従来の技術に比べて工場環境と製品機能の向上を図れるという。

図1:新技術の開発・製造メンバー
図1:新技術の開発・製造メンバー
(出所:トヨタ自動車)
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 新技術の特徴としてはまず、シリンダーヘッドの冷却水路を形成する中子の接着に無機物質の水ガラスを用いることが挙げられる。これにより、一般的な中子の製造方法に比べて鋳造時の臭気濃度を1/100以下に減らせたので、臭気ガスを処理するための大型脱臭設備が不要になった。

 加えて新技術では、界面活性剤で砂をムース状にして流動性を高めた。砂が型の隅々まで行き渡るため、細く複雑な冷却水路の中子も造れる(図2)。これによってシリンダーヘッドの冷却能力の向上が可能になり、熱効率が41%の新型エンジンの量産を実現できたという(図3)。さらに、砂の処理温度を下げることで、二酸化炭素(CO2)の排出量を1/2以下に減らしている。

図2:砂の流動性の比較
図2:砂の流動性の比較
(出所:トヨタ自動車)
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図3:冷却水炉の構造と冷却能力の比較
図3:冷却水炉の構造と冷却能力の比較
(出所:トヨタ自動車)
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 一般に中子を製造するには、接着剤に有機物質のフェノール樹脂を使うため、鋳造時に臭気と煙が発生する。従来、無機物質を使った中子の製造方法もあるが、複雑な形状に対応できて砂の再利用が可能な方法はないという。

 トヨタは、2015年に公表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の一環で「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に取り組んでいる(関連記事)。また、自動車の電動化が進む中で、高い熱効率を実現する技術をはじめとしてエンジンの進化が求められているという。こうした背景から、同社は新技術を開発。既に、新技術を採用したシリンダーヘッドを世界中で展開しており、社外への展開も計画している。

 大河内賞は、生産工学や生産技術、生産システムの研究・実施などについて学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した業績を表彰する事業。同社としては、今回が3年ぶり12回目(大河内記念生産賞と「大河内記念生産特賞」「大河内記念技術賞」を含む)の受賞だという。