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 日本展示会協会(日展協)は、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)の開催延期に伴い東京ビッグサイト(東京・江東区)の利用が制限されることを懸念し、東京都や東京都議会議員、自由民主党の展示会産業議員連盟、経済産業省に要望書を提出した(ニュースリリース要望書)。東京ビッグサイトの東・東新・西展示棟が2021年11月まで利用できなかった場合、1年で4万9200の出展者に1.3兆円の売上損失が生じると試算し、展示会の通常開催の実現を求めている。

表1:東京オリンピック・パラリンピックに伴う東京ビッグサイトの利用制限
表1:東京オリンピック・パラリンピックに伴う東京ビッグサイトの利用制限
2020年12月からは全館を展示会に利用できる予定だったが、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期に伴い、2021年11月まで利用できくなる恐れがある。(出所:日本展示会協会)
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利用制限の延長で約1.5兆円の損失増加見込み

 日展協によると、展示会業界は3つの「緊急事態」に直面している。1つ目は、東京五輪の開催。東京ビッグサイトは東京五輪の国際放送センター(IBC)やメインプレスセンター(MPC)として使われるため、2019年4月〜2020年11月の延べ20カ月にわたって利用が例年の51%に制限されている(表1)。これにより、8万3600の主催者と支援企業、出展者が約2兆5000億円の売り上げを失う試算(表2)。このうち影響を受ける出展者数は8万2000で、売上損失は2.2兆円と算出した。

表2:損失額の概算
表2:損失額の概算
東京ビッグサイト東・東新・西展示棟が引き続きIBC/MPCとして据え置かれ、2021年11月まで利用できなかった場合を想定し、試算した。(出所:日本展示会協会)
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 2つ目は新型コロナウイルスの流行。2020年2月下旬以降、約350本の展示会が中止または延期された。さらに3つ目として、東京五輪の延期が加わった。

 東京ビッグサイトでは、2020年10月から随時、東・東新・西・南展示棟の利用が可能になり、同年12月には全館が使えることを前提に多くの展示会が計画されていて、既に主催者と出展社の契約が済んでいるケースもある。しかし、2020年12月以降もIBCやMPCが据え置かれ、予定されていた展示会が開催できなくなれば、5万160の主催者・支援企業・出展者が約1.5兆円の売上損失を被る予想で、「大きな補償問題になることは必至」(日展協)だとする。

 展示会にかかわる企業の大半は中小企業であり、出展者にとって展示会は「営業・販売促進の機会の柱」(同)。展示会の中止により、多くの経営難や倒産が予想されると危機感を募らせる。


青海展示棟の使用延長などを提案

 こうした試算を踏まえて日展協は、東京ビッグサイトの利用制限期間を可能な限り短縮し、2020年12月から展示会が通常通り開催できるように要望。それが叶わない場合、東・東新展示棟(6万7000m2)と同規模の展示面積の確保を求める。

 代替策としては、首都圏で仮設展示場を建設する、幕張メッセ(千葉市)や東京ビッグサイトの西・南棟を展示場として使えるようにする、東京ビッグサイトの青海展示棟の使用期間を東京五輪後まで延長する、首都圏の他の展示会場も含めて調整する、東京五輪後の撤去期間の短縮について再検討する、既に募集を開始した展示会を支援する、の6つを提案。国や関連自治体と協議し、解決の方向性を見出したいとして、協議の場を設けることを要望している。

 日展協は、大規模な展示会場が圧倒的に不足している日本の現状を考えれば、会場問題の解決が「困難を極めることは想像に難くない」としつつ、「この未曽有の経済危機からV字回復させる起爆剤は、大規模展示会しかない」と、展示会開催の意義を主張する。展示会会場や展示会業界だけの問題でなく「日本経済の活性化と発展の問題ととらえてほしい」と訴えるために、要望書をまとめたという。