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 アドバンスコンポジット(静岡県富士市)は、強度が鋳鉄並みでアルミニウム(Al)合金並みに軽い複合素材「AC-Albolon(アルボロン)」を開発した(図1)。高圧鋳造技術の溶湯鍛造法により、これらの特徴を実現した。電気自動車や半導体製造装置、家電・重電、産業用ロボットなどの部材に採用することで、製品の軽量化を図れる。

 図1:「AC-Albolon」で成形した治具や部品の例
図1:「AC-Albolon」で成形した治具や部品の例
(出所:アドバンスコンポジット)
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 開発品は、特殊セラミックスとAl合金を複合化させた材料特性を備える(図2)。引っ張り強さは290MPaで曲げ強さは350MPa、ヤング率は120GPaと、鋳鉄(FC250)と同等の機械特性を持つ。熱膨張率は12ppm/Kで、セラミックスとAl合金の中間程度だ。密度は、鋳鉄の約1/3でAl合金と同程度の2.8g/cm3。比熱と熱容量はAl合金と同等だが、熱伝導率は81W/m・KとAl合金の約1/3で熱変形が少ない。その他にも、ワイヤー放電加工が可能、切削加工しやすい、ハンダが付かない、減衰特性に優れるといった利点を併せ持つという。

図2:「AC-Albolon」の特性と電気自動車への応用例
図2:「AC-Albolon」の特性と電気自動車への応用例
(出所:アドバンスコンポジット)
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 こうした特徴を実現する基盤技術が溶湯鍛造法だ(図3)。金型に溶湯を入れ、高い圧力を加えて凝固させて、複合金属を鋳造する。比較的短時間で溶湯を凝固させるため、合金組織がち密で鋳巣(いす:金属内に発生する微細な空洞)が少なく、高強度の鋳物を安定して製造できるという。何度も叩いて欠陥を排除していく鍛造法と同等レベルの品質と均一性を実現できることから、この名称が付いた。

図3:溶湯鍛造法による複合材の鋳造
図3:溶湯鍛造法による複合材の鋳造
(出所:アドバンスコンポジット)
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 これまで鋳鉄で造っていた部材に開発品を使えば、大幅な軽量化が可能とする。Al合金から置き替えれば、部材を長寿命化できる。その部材を組み込む製品の低コスト・低燃費・高効率化も図れる。

 今回の開発事業は2019年度に、ものづくり基盤技術の向上につながる研究開発からその試作までの取り組みを支援する中小企業庁の事業「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポーティングインダストリー支援事業)」に採択されている。