NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)は2020年4月21日、テレワーク向けのシンクライアント型VPNソフト「シン・テレワークシステム」の無償提供を始めた。契約やユーザー登録は不要。インターネット回線があればどこからでも安全にテレワークできるという。実証実験の位置付けで、主にテレワークの設備導⼊が難しい中⼩企業向けに2020年10⽉31⽇までシステムを開放する。
ユーザーは事前の設定作業として会社パソコンにサーバー用ソフトを、自宅パソコンにクライアント用ソフトをそれぞれインストール。会社パソコンはインターネット向けにHTTPS(TCPポートの443番)で通信できればよい。インターネット上の「分散型クラウドゲートウェイ中継システム」を介して自宅パソコンと接続する形態となる。
一方、自宅パソコンは最短1分程度で設定が完了する。サーバーに接続すると会社パソコンの画面が映し出され、マウス操作をはじめ、クリップボードやファイル、プリンターを共有できる。現時点でソフトはサーバー用・クライアント用ともにWindows版のみ。macOS版は提供していない。
セキュリティー対策として、複数のユーザー認証手段を備える。簡易的なパスワード認証のほか、既存のRADIUS認証基盤やPKI基盤をそのまま使える。会社パソコンで接続元IPアドレスやファイル持ち出しを制限でき、サーバー用ソフトのログも確認できる。
同システムはNTT東日本の企画から、IPAにおける開発の完了まで約2週間でこぎ着けた。学術的・試験的な実証実験のため、個別サポートや問い合わせ対応、品質保証などはない。停止や不具合が発生する可能性もあり、全ての問題をユーザーの責任で解決する必要があるという。