NECは2020年4月23日、ベトナム向け人工衛星「LOTUSat-1」(ロータスサット・ワン)の開発・製造、地上システムの整備などを住友商事から一括受注したと発表した(図1)。受注金額は約200億円。NECが衛星システムを海外向けに輸出するのは今回が初めて。
提供先はベトナム国家宇宙センターで、衛星が気候変動を常時監視することで台風や豪雨などの予測を高度化する用途で使う。衛星の打ち上げは2023年を予定している。住友商事は、ベトナム国家宇宙センターと2019年10月に受注契約を締結。今回、NECが住友商事から人工衛星製造などを受注した。
ベトナムは世界でも有数の自然災害国として知られる。2018年の経済産業省の調査によれば、台風や豪雨による洪水などでの経済損失は同国GDPの1.5%にも及ぶという。このため気候変動の常時監視の整備が喫緊の課題となっていた。
ロータスサット・ワンは、海外市場向けにNECが開発したレーダー観測衛星「ASNARO-2」(アスナロ・ツー)の同型機で、重さは580kg。計算機やソフトウエアの共通化によって低コスト化を実現した標準衛星システム「NEXTAR」(ネクスター)を搭載する。
同衛星の管制やミッション運用を担う地上システムは、撮像計画を可視化できる同社の「GroundNEXTAR」(グランド・ネクスター)をベースにする。同システムは撮像計画を立体アニメーションで可視化し、直観的にミッション計画を確認できる(図2)。NECが開発・製造する衛星システムは、ベトナム国家宇宙センターが整備・運用するホアラック宇宙センターで、2022年から2023年に整備する予定だ。