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 武藤工業(東京・世田谷)は、簡易フェースシールドのフレームを同社の卓上型3Dプリンター「Value3D Magix MF」シリーズで造るための造形データを公開した(図1、ニュースリリース1)。神奈川大学経営学部国際経営学科准教授の道用大介氏が公開している3Dデータ(DOYO Model)のSTLデータと、DOYO Modelを同シリーズ向けに最適化したGCODEファイルで、いずれも同社のホームページから入手できる。併せて同社は、社内で3Dプリンターを利用してフェースシールドを製造し、2020年5月15日から医療機関に無償で提供する(ニュースリリース2)。

図1:公開データを用いて造形したフェースシールドのフレーム
図1:公開データを用いて造形したフェースシールドのフレーム
(出所:武藤工業)
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 DOYO Modelのフェースシールドは、3Dプリンターで造形したフレームにA4判のクリアファイルやラミネートフィルムなどを取り付けて造る。道用氏はフレームの形状として、慶應義塾大学看護医療学部FabNurseプロジェクトと共同で開発し、短時間での造形を可能にした「fastモデル-typeV」や、バンドに通常の輪ゴムを使えて穴あけも簡単な「easyモデル」、両モデルを掛け合わせた「hybridモデル」など5種類を公開している(「GitHub」の当該ページ)。同社は今回、DOYO Modelをスライシングのフリーソフト「Slic3r」で変換したGCODEファイルを自社のホームページで公開した。

 Value3D Magix MFシリーズは材料押出方式(FDM方式)の3Dプリンターで、価格が24万2000~93万5000円(税込み)のパーソナルモデル。現在は、プリントヘッドを2つ搭載し、最大造形サイズが300×300×300mmの「MF-2500EP II」「同2200D」と、プリントヘッドが1つで最大造形サイズが200×200×170mmの「同800」を販売している。これらのうち同2500EP IIと同2200Dは、1度に6個(2段×3個)のフレームの造形が可能だ(表)。造形時間は、同2500EP IIが約80分で、同2200Dと同800が約90分。材料は、同2500EP IIがアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS)とポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)の3種類のフィラメントを、同2200Dと同800がABSとPLAのフィラメントを使える。

表:造形試作条件
表:造形試作条件
(出所:武藤工業)
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 同社は、フェースシールドの造形について強度試験や着用試験を実施し、その結果を踏まえてPCでの造形を推奨している。PCは軽量で曲げに強く、アルコールや煮沸消毒への耐性も備えるため、安全で繰り返し使用できるのが利点とする。ポリエチレンテレフタレート(PET)製のシールドを組み合わせれば、着脱を繰り返しても変形しにくく安定した装着感を得られる。バリや突起部が少ないので安全性が高く、大きな力を加えても破片が飛び散りにくいという。

 さらに同社は、DOYO Modelのデータと同2500EPIIを使用してフェースシールドを製造し、医療機関に提供する(図2)。提供数量は、1カ月当たり500セットの予定だ。フレームにはPC「PolyMax PC」を、シールド部材には透明度の高いPET(t=0.25)採用し、フレームの突起部にシールドの穴を差し込んで造る構造とした。靭性(じんせい)に優れるため、つば付きの帽子の上からも装着できる(図3)。つば付き帽子をかぶれば、頭上から飛沫がフェースシールド内に侵入するのを防げる上、長時間装着しても負担が少ないという。

 PET製シールドは、使ううちに表面が傷ついて透明度が低下する。そこで、1フレームにつき5枚のPETシールドを付けて1セットとした。PETシールドがなくなったときは、クリアファイルで代用できる。

図2:提供するフェースシールドの構成
図2:提供するフェースシールドの構成
(出所:武藤工業)
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図3:フェースシールドの装着イメージ
図3:フェースシールドの装着イメージ
(出所:武藤工業)
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