ソニーは、可視光から1000nm台の短波長域の赤外光(SWIR:Short-Wavelength InfraRed)まで撮像できる「SWIRイメージセンサー」を開発した(発表資料)。材料選別や異物検査、半導体検査などで使える。これまで可視光用とSWIR用で別々に必要だったカメラを1台にできるという。2020年6月からサンプル出荷する。
従来のSWIRイメージセンサーは、多画素化に不向き、可視光域の感度が低いといった課題があった。Siイメージセンサーで培った「Cu-Cu(カッパーカッパー)接合」と呼ぶ張り合わせ技術を応用し、画素ピッチを縮小して画素サイズを5μmと小さくした。この結果、約134万画素(水平1296×垂直1032)を達成した。
加えて、イメージセンサー表面のInP(インジウム・リン)層を薄くして、その下にある光電変換を行うInGaAs層までなるべく多くの光が透過するようにして、可視光域で量子効率を高めた。この結果、400nm~1700nmまでの広い波長域での撮像が可能になった。
大きく2つの製品を用意する。1つは約134万画素の「IMX990」、もう1つは約34万画素の「IMX991」である。それぞれに、2種類のパッケージを用意した。サンプル価格は40万円(税抜き)からである。19年12月開催の半導体素子の学会「65th International Electron Devices Meeting(IEDM 2019)」で発表した成果を基に開発した。