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 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は2020年5月14日、社印の電子版に相当する「適格eシール」の利用を開始したと発表した。欧州連合(EU)の法制度に基づいて、JIPDECが作成した電子文書が改ざんされていないことを証明できる。

 eシールは法人が作成した電子文書などに利用できる。データの信頼性を確保する仕組みである「トラストサービス」の1つだ。企業が作成したPDFなどの電子文書にeシールを付与すると、企業が間違いなく作成し、かつ作成後に改ざんされていないと証明できる。

 電子署名は個人が作成して契約などの意思表示のために利用するが、eシールの作成はプログラムなどで自動化できる。EUでは「eIDAS(イーアイダス)規則」の要件に適合したトラストサービスを「適格トラストサービス」と呼ぶ。

 適格トラストサービスプロバイダーが発行した法人向けの電子証明書を付与したeシールは「適格eシール」と呼ばれる。EUの銀行や決済サービス事業者に適用する「決済サービス指令2(PSD2)」の技術基準はeIDAS規則に適合するよう求めている。

 JIPDECの適格eシールは、電子認証サービスのGMOグローバルサインが日本企業として初めて提供したという。JIPDECがWebサイトに掲載した適格eシールの利用開始を伝えるプレスリリースのPDFファイルの署名パネルを開くと、GMOグローバルサインの適格eシール証明書が表示される。

日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が公表したプレスリリースのPDFファイルに表示される適格eシール証明書
日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が公表したプレスリリースのPDFファイルに表示される適格eシール証明書
(出所:日本情報経済社会推進協会)
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 将来は企業が取引先に送付する見積書や請求書などの帳票類のほか、IR(投資家向け広報)やプレスリリースなどにeシールを利用すれば、紙や押印を前提とした制度や慣習の見直しにつながる可能性がある。

 日本では2023年10月に適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始する予定だ。消費税額の計算に必要な明細を請求書などに記録して保存する必要がある。インボイスを電子化して適格eシールと同様の仕組みが利用できれば、企業の事務負担が大幅に軽減できると期待されている。

 ただ、日本にはeシールに相当する制度がない。このため総務省は2020年4月にトラストサービスの1つとして、組織が発行するデータの信頼性を確保する制度を議論する有識者検討会を発足した。JIPDECはトラストサービス評価事業である「JCANトラステッド・サービス登録」の登録証に適格eシールを付与するほか、今後日本版eシールの普及を目指すという。