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 国民生活センターは、家庭でたこ焼きなどを作る際に使われる「粉つぎ器」の取っ手(ハンドル)が破損する事例について調査し、結果を公表した(ニュースリリース)。粉つぎ器は、たこ焼きなどの生地を混ぜて注ぐ器具。ハンドルに油が付着したままにすると、ソルベントクラック(ケミカルクラック)が発生して破損する恐れがあるとして、同型品のユーザーに注意を呼びかけている。

図1:当該品の外観(左)と使用イメージ(右)。(出所:国民生活センター)
図1:当該品の外観(左)と使用イメージ(右)。(出所:国民生活センター)
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 当該品は、和平フレイズ(新潟県燕市)が販売する「元祖ヤキヤキ屋台回転粉つぎ」(品番:YR-7811)。2020年2月、「粉つぎ器を初めて使用した後に、洗ってから置いていたところ、取っ手が破損し飛び散った。破損した原因を調べてほしい」という依頼が寄せられたのを受けて、国民生活センターが調査を実施した。

 この製品は、スチロール樹脂製の本体と一体成形されたハンドルの内側に、金属製の板ばねとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)製のグリップを取り付けている(図1)。グリップを握ると本体の底から生地を注げる。

 国民生活センターによると、当該品は全体に油が付着したようなべたつきがあり、ハンドルが破損して分断。破損部の破面を観察したところ、ハンドル中央部では外側から内側に向かってき裂が進展し、放射状の脆性破壊が生じていた。き裂の起点部には、ソルベントクラックに特有の平坦で鏡面状の破面が見られた(図2)。ソルベントクラックは、荷重などによって応力(ひずみ)が生じている樹脂に油分や溶剤などが浸透拡散して、分子間にはく離が生じてき裂に至る現象だ。その破面は、ナイフですぱっと切ったような鏡面を示す特徴があるという。

図2:破損部の破面。(出所:国民生活センター)
図2:破損部の破面。(出所:国民生活センター)
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 ハンドルの内側の板ばねは、生地を注ぐときに握ったグリップを戻す役割を担い、保管中でもハンドルとグリップの間には力がかかっている。グリップを離したときのばねの反発力を測定したところ、37N(約3.8kgf)だった。当該品のハンドルには常にこの荷重がかかっており、内部に油分が浸透拡散していればソルベントクラックを生じやすい状況だと分かった。

 次に、実際にたこ焼きの生地を作って同型品に投入し、グリップを握って生地を吐出した後、スポンジで容器の内側と外側、ハンドルを水洗いして布巾の上に置くテストを実施した。その際、たこ焼きを作るときに一般的に使われるとみられるサラダ油をハンドルに付着させ、洗剤を使わずに水洗いしたところ、20時間を経過してから大きな音をたててハンドルが破損し、ハンドルの破片と板ばねが飛散した(図3)。破損部のき裂の起点部には、当該品と同様に平坦で鏡面状の破面が見られたという。

図3:ハンドルが破損したところ。(出所:国民生活センター)
図3:ハンドルが破損したところ。(出所:国民生活センター)
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 この結果から、当該品はハンドルに付着した油脂分が十分に除去されていなかったので、残った油脂分が樹脂中に浸透拡散。その状態でハンドルが板ばねの荷重を受け続けてソルベントクラックが発生し、破損したと考えられる。

 当該品の取扱説明書には「お手入れ方法」として、「ご使用後は食器用洗剤を付けて、スポンジ等で十分に洗い、水気を拭き取り乾燥させてください」との記載がある(図4)。国民生活センターは、使用後に油脂分が残っているとハンドルが破損・飛散する危険性を指摘するとともに、同型品のユーザーには、ハンドルにひび割れなどの異常がある場合は使用を中止し、異常がない場合も食器用洗剤で十分に洗浄するようアドバイスする。

図4:取扱説明書の表示。(出所:国民生活センター)
図4:取扱説明書の表示。(出所:国民生活センター)
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 和平フレイズによると、当該品と同型の製品は、2015年9月の販売開始から約1万4000台が出荷されているという。現在は出荷を中止しているが、2020年5月11日付けで「YR-7811『元祖ヤキヤキ屋台回転粉つぎ』についてのご注意とお知らせ」を公表(和平フレイズ「重要なお知らせ」)。ハンドル部分に異常な状態が見られたら使用を中止し、不明な点は同社まで問い合わせるよう呼びかけている。