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 日本電機工業会(JEMA)は、IoT(Internet of Things)を活用した製造業の変革に関する提言書「2019年度版 製造業2030」を公開した(ニュースリリース)。2015~2018年度版に引き続き、JEMAのスマートマニュファクチャリング特別委員会の活動をまとめたもの。新型コロナウイルス感染拡大で分断されたサプライチェーンをよりフレキシブルにつなげるために、同委員会が提唱するコンセプトが「重要な意味を持っている」と位置付ける。

 同委員会は2030年のあるべき製造業の姿として、市場環境に合わせて製造プロセスを組み替え、柔軟にビジネス環境を構築するコンセプト「FBM(Flexible Business and Manufacturing)」を提唱する(関連記事1同2)。このコンセプトでは、バリューチェーン(ビジネス)の領域を示す「基盤」や、バリューチェーンにおいて価値を付加するプロセスである「FBMサービス」、バリューチェーンで連鎖の方向を示す「バリューリンク」といった構成要素を設定し、基盤は厚板、FBMサービスは球体、バリューリンクは矢印などの図形を使ってFBMモデル(バリューチェーン)を構築していく(図1)。

図1:従来のバリューチェーン(左)とFBMによるフレキシブルなバリューチェーン(右)
図1:従来のバリューチェーン(左)とFBMによるフレキシブルなバリューチェーン(右)
(出所:日本電機工業会)
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 FBMは、さまざまな生産プロセスや関連ビジネスのバリューチェーンを対象に利用できる上、バリューチェーンの構造を第三者に分かりやすく可視化できるのが利点(図2、3)。FBMを用いて理解を共有することで、製造とビジネスのあり方について的を射た議論が可能になるという。JEMAは、2015年度にFBMの検討を開始。2016年度からはその具現化に組んできた(図4)。

図2:FBMの導入イメージ
図2:FBMの導入イメージ
(出所:日本電機工業会)
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図3:FBM業務フローのイメージ
図3:FBM業務フローのイメージ
(出所:日本電機工業会)
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図4:FBM検討の経過
図4:FBM検討の経過
(出所:日本電機工業会)
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 同委員会の活動の最終年に当たる2019年度は、FBMに関係するステークホルダーを定めた他、FBMサービスを具体的に定義。その他、「製造委託バリューチェーンのデザイン」「制御盤製造の最適バリューチェーン」「事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)に基づくバリューチェーン再構築」「製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)オペレーションとの連携」の4つのユースケースを策定し、FBMの具体的な活用例を示した。

 同委員会は、新型コロナウイルスによる世界経済や産業界への影響が当初の想定を上回る中、製造業は「環境の劇的な変化にいかに柔軟かつ迅速に対応できるのかが問われる」とみる。さらに、グローバルで生産ネットワークを共有して生産の効率化・最適化を図るメリットよりも「特定の国で代替の利かない部品を生産するリスクが強調されている」と、生産の国内回帰の動きを分析。国内で必要な生産財を効率的に多品種少量生産し、採算が取れるようにすることが直近の課題であり、FBMをより進化させていくことが重要としている。

 JEMAは2020年6月9日、同提言書を紹介するシンポジウムをWebサイト上で開催する予定だ。