伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロ)は、自動車用デジタルキーに向けたNFC(Near Field Communication)リーダーIC「ST25R3920」を発売した(ニュースリリース)。自動車用デジタルキーを使えば、スマートフォンなどを使って自動車の施錠や開錠が可能になるほか、友人や駐車場の係員に使用権限を与えることができるようになる。また、自動車のサブスクリプションサービスの実現が容易になるという。スマートフォンと自動車を連携させる通信技術の推進団体「Car Connectivity Consortium(CCC)」が定めた「Digital Key Release 2.0」規格に準拠する。さらに、車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠するほか、NFC Forumの認証を取得している。自動車のドアハンドルやセンターピラー(Bピラー)、センターコンソールなどへの搭載を想定する。

自動車用デジタルキーに向けたNFCリーダーIC
自動車用デジタルキーに向けたNFCリーダーIC
STMicroelectronicsのイメージ
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 NFCレシーバー回路のほか、NFCトランスミッター回路、A-D変換器、電圧レギュレーター回路、水晶発振回路、デジタル制御ロジック回路、RAM.FIFOメモリーなどを1チップに集積した。RF通信に関するアナログ回路とデジタル回路は、EMVCoが定める「EMV Contactless interface specification v3.0(EMVCo 3.0)」に準拠する。データ伝送速度は、「NFC-A/ISO14443A」規格や「NFC-B/ISO14443B」規格が定める最大848kビット/秒や、「NFC-F/FeliCa」規格が定める最大424kビット/秒、「NFC-V/ISO15693」規格が定める最大53kビット/秒が選べる。NFC-A/ISO14443A規格とNFC-F/FeliCa規格に対するカードエミュレーション機能を用意した。

 ダイナミックパワー出力(DPO:Dynamic Power Output)と呼ぶ機能を搭載したため、RF出力パワーは連続時に最大1.6W、ピーク時に最大2.5Wが得られる。このため「小型のアンテナを使っても、長距離かつ高信頼性のNFC通信を実現できる」(同社)という。さらに同社独自の「NSR(Noise Suppression Receiver)」技術を適用したことで、外部雑音源に対する耐性を高めた。このため、「EMC対策が容易になるほか、通信やEMCなどに関する各種認証の取得を簡略化できる」(同社)としている。このほか、「AAT(Automatic Antenna Tuning)」機能や、電磁誘導方式のウェイクアップ機能などを備える。

 FIFOメモリーの容量は512バイト。外部インターフェースとして、データ伝送速度が5Mビット/秒のSPIや、最大3.4Mビット/秒のI2Cバスを用意した。パッケージは、実装面積が5mm×5mmの32端子VFQFPN。動作温度範囲は、電源電圧範囲が+2.6〜5.5Vのときに−40〜+105℃、+2.4〜5.5Vのときに−20〜+105℃である。すでに量産を始めている。価格は明らかにしていない。