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 ルネサス エレクトロニクスは、独自開発のビジョン処理向けAI推論アクセラレーターを集積したマイクロプロセッサー(MPU)の「RZ/Vシリーズ」、および同シリーズの第1弾製品「RZ/V2M」を発表した(ニュースリリース)。RZ/V2Mは産業、インフラ、リテール用の監視・認識カメラ向けで、現在、一部の顧客向けにサンプル出荷中。量産は、2020年12月に開始の予定である。

今回の新製品「RZ/V2M」と応用イメージ
今回の新製品「RZ/V2M」と応用イメージ
ルネサスのイメージ
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 RZ/Vシリーズに集積されるビジョン処理向けAI推論アクセラレーターは、「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)-AI」と名付けた。名称に含まれるDRPは、同社独自の動的にカスタマイズ可能な回路で、ルネサスのAI戦略の中核技術の1つ*1。DRPを集積した製品の第1弾としてMPUの「RZ/A2M」を2018年10月に発表している*2。RZ/A2Mは2次元バーコードや光彩認証などに向くMPUだという。

 DRPに専用の積和演算回路「AI-MAC(Multiply Accumulation)」を追加したのが、RZ/Vシリーズに集積のDRP-AIである。DRP-AIでは、ニューラルネットワークのコンボリューション層の処理は並列性が重要なため、AI-MACが担う。そのほかの層(プーリング層など)の処理は柔軟性が重要なため、DRPが受け持つ。DRP-AIのニューラルネットワーク処理における電力効率は1TOPS/Wクラスで、DRPだけの処理に比べて電力効率は約10倍とする。

 CPUコアからDRP-AIにニューラルネットワーク処理をオフロードすることで、AI推論を高速・低消費電力で実行できることがRZ/Vシリーズの特徴である。DRP-AIの集積によって、RZ/V2Mの消費電力は4W(標準値)に抑えられたという。ヒートシンクや冷却ファンが不要で放熱対策が容易なため、小型の端末に搭載できたりすることで、組み込み機器でのAIの活用が広がるとする。また、BOMコストの低減にも寄与するという。

 ルネサスは、DRP-AIの開発ツールとして「DRP-AIトランスレータ」を20年9月に提供開始の予定である。このツールを使うことで、市場にあるフレームワークで開発した(学習させた)ニューラルネットワークモデルをDRP-AIに容易に実装できるという。同社によれば、DRPとAI-MACへの処理の振り分けや、DRPの動的変更に必要な情報も、このツールが自動的に生成する。