くら寿司は、回転ずし店に設置しているゲーム「ビッくらポン」で紙製のカプセルを採用すると発表した(図1)。景品の容器として、ケーツーステーション(大阪府岸和田市)やレンゴー、大宝工業(大阪府守口市)と共同開発した紙製カプセルを使う。2020年6月15~7月15日の試験導入を経て順次、現行のプラスチック製から紙製へ移行する計画だ。

図1:パルプとデンプンによる「紙製カプセル」(左)と店内設置イメージ(右)
図1:パルプとデンプンによる「紙製カプセル」(左)と店内設置イメージ(右)
(出所:くら寿司)
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 紙製カプセルは、デンプンとパルプを用いた成形材料を3D形状に射出成形する「パルプ成形技術」(Pulp Injection Molding:PIM)」で造る(図2)。PIMは、大宝工業が開発し、東京大学生産技術研究所の横井研究室や日精樹脂工業と改良した技術。材料製造時の二酸化炭素(CO2)排出量をポリプロピレン(PP)の1/2未満に抑えられる上、約6カ月で土中分解されるため、プラスチック製カプセルに比べて環境負荷を減らせるという。

図2:PIM材料(左)とペレット(中)、成形したカプセル(右)
図2:PIM材料(左)とペレット(中)、成形したカプセル(右)
(出所:くら寿司)
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 具体的には、パルプとデンプンを6:4の割合で混ぜた原材料に30~40重量%の水を混ぜてペレットを製造し、それをPIM専用の射出成形機でカプセルに成形する(図3)。大宝工業の技術資料によると、PIM材料の比重は0.85(バージンパルプを用いた場合、以下同)で、ポリスチレン(PS)やポリ乳酸(PLA)に比べて軽く、PPに近い。引っ張り強度は29MPa、曲げ強度は24.5MPa、曲げ弾性率は2900MPa、衝撃強さは11.5kg・J/m2とする。約200℃の耐熱性を備え、-20℃でも変化しない。寸法精度は汎用樹脂並みという。

図3:PIM材料の製造工程
図3:PIM材料の製造工程
(出所:くら寿司)
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図4:材料製造時の二酸化炭素排出量
図4:材料製造時の二酸化炭素排出量
(出所:くら寿司)
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 大宝工業が算出したPIM材料製造時のCO2排出量は、製造物1t当たりで700kg(図4)。ポリエチレン(PE)の2749kgやPPの1979kg、PLAの1774kgに比べて低い。使用済みの成形品は燃やしても有害物質が発生せず、一般ゴミとして処分できる他、紙としてのリサイクルも可能。一方で、吸湿寸法変形は±0.5%と高温多湿に弱い、ウエルド部の強度が劣るといった短所もある。

 薄肉成形やアンダーカット、インサート成形、多リブ構造、ヒンジ形状などに適用でき、押出成形用の発泡材としても使える。同社は、ファイルの綴じ具やCD・DVDケース、スピーカーのコーン、食品用ラップの切れ刃、プランターなどの用途を提案している。

 くら寿司のビッくらポンは、食べ終わった皿の回収システムと連動し、投入数5枚につき1回タッチパネル上でスタートするゲーム。当たりが出るとカプセルに入ったオリジナルグッズをもらえる。多いときには1日に10万個以上のカプセルを提供しているという。

 今回、池袋サンシャイン60通り店(東京・豊島)と天六駅前店(大阪市)の2店舗で紙製カプセルを試験導入し、順次、採用を拡大する。併せて持ち帰り用の袋を、バイオマスプラスチックを25%配合したビニール袋に変更。マイクロプラスチックの発生抑制とCO2の排出量削減を図る。