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 米FDA(食品医薬品局)は2020年6月15日、発達障害の一種である小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD)の注意機能(attention function)を改善するデジタル治療(デジタルセラピューティクス:DTx)を認可したと発表した。

 認可したのはベンチャーの米Akili Interactive Labsが開発した「EndeavorRx」。同時に2つの課題をクリアしていく形式の治療向けゲームになる。FDAがゲームをベースとしたADHD対象のDTxを認可するのは初めて。Akiliは日本では塩野義製薬と提携している。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)を対象とするデジタル治療のイメージ
注意欠陥・多動性障害(ADHD)を対象とするデジタル治療のイメージ
(出所:Akili Interactive Labs)

 ADHDの子供は集中力や注意力を維持するのが難しい。EndeavorRxは認知機能で重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されている。具体的には、キャラクターを動かして障害物を避けながら、画面に現れる特定の標的だけにタッチするなど、同時に2つの課題に取り組んでもらう。臨床試験で、ADHDと診断された8~12歳の小児の注意機能を改善することが示された。

 Akiliと提携する塩野義製薬は、AkiliのDTxの日本での独占的な開発権と販売権を保有している。現在、同社は国内でADHDを対象としたフェーズIIの臨床試験を実施中である。

 EndeavorRxは新しいタイプの医療機器として、医療機器の審査方法の1つである「de novo市販前審査」の枠組みでFDAから認可を受けた。リスクが軽度から中程度(クラスIからクラスII)の新しい医療機器で、比較対象となる同等の機器が存在しない場合に適用される。今回で認可の前例ができたため、FDAは「今後同じ使用目的で同じタイプのデバイスの場合は(EndeavorRxと)同等であることを実証することで認可を受けられる」とした。

 DTxはデジタル技術を用いて疾病の予防や診断、治療などの医療行為を支援したり実施したりするソフトウエアを指し、治療用アプリも含まれる。日本で開発が先行するDTxは、ベンチャーのCureApp(キュア・アップ)が開発するニコチン依存症患者向けのものになる。