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 米クアルコム(Qualcomm)は2020年6月17日、AI(人工知能)や5G(第5世代移動通信システム)に対応する最新のロボティクス向けSoC「Qualcomm Robotics RB5」を発表した(Qualcommのプレスノート)。Robotics RB3の後継品として、新たに5GとAIに対応し、一般顧客から企業、防衛、産業、専門性の高いサービスに向け、省電力で高いコンピューティング能力を持つ次世代のロボットやドローン開発を支援する。20社以上が評価を開始しており、米インテル(Intel)やTDK、パナソニックを含む30社余りが、ロボティクスアプリケーション実現に向けた各種ハードウエアやソフトウエア開発を進めている。Robotics RB5をベースとした製品は2020年内に市場投入見込みとなっている。

出所:Qualcomm
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 Robotics RB5は、ロボティクス向けにカスタマイズされたプロセッサ「QRB5165」を搭載。15TOPS(Tera Operations Per Second、1秒間に15兆回の演算処理)のAI性能を持つ第5世代のAIエンジンと合わせて、高性能なヘテロジニアスコンピューティングを提供する。最新の「Qualcomm Hexagon Tensor Accelerator」で高度な機械学習推論を行うほか、7個のカメラを同時にサポートするISP(Image Signal Processor、画像処理プロセッサ)、高度な映像分析を実現するコンピュータービジョンエンジンなども搭載している。

 4G/5G対応モジュールとの組み合わせで、ロボティクスやインテリジェントシステムの5G対応を推進するほか、産業レベルの動作温度範囲や2029年までの長期供給などのオプションにも対応する。

 カスタマイズ可能な環境を提供する開発キット「Robotics RB5 Development Kit」も用意している。Linux、Ubuntu、ROS(Robot Operating System)2.0をサポートし、各種カメラやセンサー、5Gコネクティビティー用のドライバーを提供するほか、OpenCL、OpenGL ES、OpenCVもサポートする。デプスセンシング機能に向けては、IntelのRealSense Depth Camera D435iやパナソニックのTOF(Time-of-Flight)カメラをサポート。TDKが6軸センサー付き慣性測定ユニットICM-42688-P IMU、圧力センサーICP-10111、PDM(Pulse Density Modulation)マイクロホンフォT5818、ToF方式の超音波センサーCH101、CH201、モーターコントローラーHVC4223F、フォールトトレラント対応慣性測定ユニットIIM-46220、ホールセンサーや温度センサー、ロボティクスアプリケーションに特化した検証用ソフトウエアなどを提供している。96Boards Consumer Edition Specificationを活用した概念実証やプロトタイプ作成も可能となっている。

出所:Qualcomm
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 Qualcomm Robotics RB5 platformの主な機能は下記の通り。

  • ヘテロジニアスコンピューティング: QRB5165プロセッサに、8コアのKryo 585 CPUとAdreno 650 GPU、演算、オーディオ、センサー用のDSPとISPを搭載。下記のAIエンジンやコンピュータービジョン用の高度映像分析エンジンを使って、ヘテロジニアスコンピューティングを提供する。
  • AIエンジン:第5世代のAIエンジンをベースとする「Hexagon Tensor Accelerator」で、高度なAI機能と機械学習推論を実行する15TOPSのAI性能を実現する。
  • 画像処理: 「Spectra 480 Image Signal Processor」で2Gピクセル/秒の画像処理を実現。Dolby Visionの動画キャプチャーや、30フレーム/秒での8K録画、200Mピクセルの静止画、120フレーム/秒での4K HDR動画キャプチャーとシャッターラグのない64Mピクセルの静止画の同時処理が可能となる。コンピュータービジョンに向けてEVA(Engine for Video Analytics、映像分析エンジン)を用意するほか、HEIF形式の画像保存機能やスローモーション動画キャプチャー、Dolby Vision、HDR10、HDR10+、HEVC、HLGに対応。7個のカメラによるSLAM(simultaneous localization and mapping、自己位置の推定と地図作製)や物体認識、分類、自動ナビゲーション、経路計画機能などにも対応し、屋内や屋内の混雑した環境でも安全かつ効率的な処理を実現する。
  • セキュリティー:「Secure Processing Unit」で、電力への影響を最低限に抑えながら堅牢(けんろう)なセキュリティーを提供。セキュアブート、暗号化アクセラレーター、Trusted Execution Environment(TEE)、カメラセキュリティー機能などを搭載し、FIPS(米国連邦情報処理規格) 140-2の認証を取得している。また、プロビジョニングセキュリティー、マルウエア保護、コンテンツ保護、モバイルセキュリティー、プロセッサセキュリティなどの機能も搭載。リモート証明やセキュアなデバイスプロビジョニングをサポートするためのセキュリティートークンも用意している。高度なAI機能とセキュリティーを考慮した機械学習による指紋や虹彩、声、顔などによる生体認証にも対応する。
  • コネクティビティー:Wi-Fi、Wi-Fi 6(802.11ax)、Bluetooth 5.1、4G、5Gに対応し、最高レベルのコネクティビティーを実現する。