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 ドイツ・アウディ(Audi)は2020年6月17日、電気自動車(EV)「e-tron S Sportback」のプロトタイプで空力性能を向上し、Cd値0.26を達成したと発表した。空力性能は、EVの航続距離を延ばすための重要な要素であり、このプロトタイプでは様々な技術を採用して空気抵抗を減らした。Cd値0.26は量産車では最高レベルに当たる。

(写真:Audi)
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 空力性能向上の基本として、まず前輪周辺の気流を制御した。フロントから入る空気は、いくつかに分けられてホイールハウス内に流れる。基本モデルより両側に23mm広がったホイールアーチトリムにも空気の通り道があり、そこに水平バーを設けた。これによりホイールハウス内にできる空気の渦を取り囲み、カプセル化することで、車両側面に沿ったきれいな気流を作り、空気抵抗を減らすことができた。20インチホイールのデザインやトレッド、タイヤのサイドウォールのパターンも空気抵抗を減らすように最適化した。

 電子ミラーも空気抵抗を低減する大きな要素で、形状を最適化することでホイールアーチを通る気流とほぼ同量の空気抵抗を改善できたという。空気抵抗の少ない平らな支持台の先にカメラを備え、車線変更や合流、右左折、駐車など、運転状況に合わせて視野を調整する。映像はドアとインパネの間にある有機ELディスプレイに表示される。サイドミラーを電子ミラーにすることで、WLTPサイクルで計測した100km当たりの電力消費量が26.6kWhから24.4kWhまで減ったという。

 車両下部にも空気抵抗を減らす工夫をした。床下パネルのスポイラー部分が、車両の周りに空気をきれいに流す。床下に配置した高電圧の電池にはアルミ製カバープレートを設けた。このカバーを取り付けるボルト部分には、ゴルフボールのディンプルに似せたボール型のくぼみが付いており、平らな表面より空気抵抗を低減した。また、減衰量を制御できるアダプティブ・エアサスペンションを標準装備した。高速走行時にはボディを標準より最大26mmまで2段階で下げ、空気抵抗を減らす。

(写真:Audi)
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 エンジンがないためフロントグリルは基本的に閉じられている。しかし、空調システムや駆動部品が冷却を必要とする場合には、自動開閉する電動ルーバーで空気を採り入れることができる。48~160km/hの速度で通常は閉じられており、空気はフロントフード上を流れる。冷却が必要な場合、ルーバーが徐々に開いて空気を取り込む。油圧ホイールブレーキに非常に高い負荷がかかった場合も、前輪のホイールアーチに空気を送る通路が解放され、必要に応じて冷却ファンが起動する。