三井化学は、人肌で温めると自己粘着性を発現するシート「体温感知自己粘着性シート」を開発し、サンプル提供を開始した(図1、ニュースリリース)。糊を使わずにシート同士が引っ付くため、接着面に糊が残らず、何度も繰り返して使用できる。

図1:「体温感知自己粘着性シート」の使用例
図1:「体温感知自己粘着性シート」の使用例
(出所:三井化学)
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 ポリオレフィン系の素材で、同社の形状記憶シート「HUMOFIT」(ヒューモフィット)の姉妹品に当たる(関連記事)。人肌に限らず周囲温度に反応し、ガラス転移点である28℃を超えると粘着性を発現する。粘着力は温度によって異なるという。厚さは、用途に応じて100μmや300μm、600μmなどに対応できる。

 想定する用途の1つは、面ファスナーの代替だ。開発品は面ファスナーと異なり、接着面に糸くずが付着せず、着脱時のバリバリといった音も発生しない。面ファスナーに比べて厚さを抑えられる上、無色透明なため、製品の意匠性を損いにくいのも利点とする(図2)。

図2:面ファスナーとの厚さ比較
図2:面ファスナーとの厚さ比較
右の白い方が開発した粘着性シート。左は面ファスナー。(出所:三井化学)
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 人肌で温めると柔らかくなって身体にフィットするので、衣類や服飾雑貨、医療・介護用品の固定部材として使える。具体的には、衣類では下着や靴、スポーツ・アウトドア向けウエアー、服飾雑貨では腕時計のベルトやめがね、ベルト、医療・介護用品についてはサポーターやバンド、防護服、フェースマスクなどでの採用が考えられる。

 さまざまな形を形成できる特徴を生かせば、袋やコップ、箱、災害用品の部材に使用できる。キーボードやフレキシブル基盤などの凹凸に追従して精密に形状を転写できるので、さまざまな展開が可能だと同社はみている。

 さらに同社が新市場として狙うのは、ウエラブル端末やVR(仮想現実)・AR(拡張現実)・eスポーツ向け端末、医療IoT(Internet of Things)端末だ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリモート社会へのシフトが進む中、これらのデバイスの需要が急拡大すると予想。開発品の需要も高まるとみている。