ドイツDaimler Trucks(ダイムラー・トラック)は2020年6月30日、子会社のDaimler Truck Fuel Cell(ダイムラー・トラック・フューエルセル)と協力して燃料電池の生産技術の開発に取り組んでいることを明らかにした。ダイムラー・トラックは過去10年間、燃料電池の技術についてさまざまなノウハウを蓄積してきたが、これらを量産技術へと移行させる。電解質膜のコーティングからスタックや燃料電池ユニットの製造まで、すべてのプロセスをカバーする最新の製造設備の開発に投資を集中している。
燃料電池の生産は非常に複雑なため、従来の工業生産プロセスを直接、移行することはできない。マイクロメートル単位の微細な部品加工が必要で、わずかな汚染でも燃料電池の機能が損なわれる可能性がある。そのため、計画している量産設備のいくつかはクリーンルーム内に設置する。温度や湿度のわずかな変動でも材料が大きく変化する可能性があるため、製造中の周囲の環境を最適化することが最も重要になるという。
同社にとっての大きな課題は、費用対効果を高くするために製造サイクルを短くすることだという。そのため、これまでの自動車部品製造では使われなかった異業種の技術を利用することもある。
ダイムラー・トラックは「CO2ニュートラルな交通機関」というビジョンを追求しており、燃料電池が重要な技術になると考えている。燃料電池の量産化に向け今後数年間で多額の投資を予定している。