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 理化学研究所(理研)は2020年7月3日、スーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーションで数十種類の薬剤が新型コロナウイルスに作用することが予測されると発表した。理研計算科学研究センターの松岡聡センター長は「スパコンを用いた創薬は新型コロナウイルスの治療薬開発に限らず、創薬の方法論として画期的である」と研究の意義を語った。

 国内外で市販される抗ウイルス薬や抗がん剤、糖尿病薬などの低分子医薬品に、新型コロナウイルスに対する有効性が期待されているレムデシベルやアビガンを加えた2128種類の薬剤を対象にシミュレーションを実施した。新型コロナウイルスの増殖に関わるタンパク質の1つである「メインプロテアーゼ」と結合するかを確認し、数十種類の薬剤が結合すると予測されることが判明した。メインプロテアーゼ以外の3種類のタンパク質についても、同様のシミュレーションを実施するとしている。

 富岳によるシミュレーションにかかった時間は10日間。同じシミュレーションをスパコン「京」で実施した場合、1年以上はかかるという。研究を実施した京都大学の奥野恭史教授は「スパコンを利用した治療薬開発が成功すれば世界初の成果となり、学術的にインパクトが大きい」と説明する。シミュレーションでは薬剤とウイルスの結合部位や結合の強さも評価しており、各薬剤の治療効果だけでなく副作用も予測できる可能性があるとする。