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 移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)は、2020年7月3日の第88回全体会合にてリリース16のステージ3(プロトコル仕様)とASN.1、OpenAPI仕様標準化を完了したと報告した(3GPPのリリース16関連サイト)。5G機能強化に加え、産業のデジタル化に向けた新機能が追加されている。これを受けて、米Qualcomm(クアルコム)は2020年7月7日、リリース16の各機能について解説している(Qualcommのブログ)。

 リリース16で強化された5G NR基本機能として下記を挙げている。

Massive MIMO機能強化

 リリース16では、MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)機能を強化。multi-TRP(複数送受信ポイント)や改良されたマルチビーム管理機能を使って、特にミリ波通信時に重要となるリンク時信頼性の強化や、リファレンス信号改善によるPAPR(peak-to-average power ratio、ピーク対平均電力比)低減などを定義。また、セル端でのカバレッジ強化に向け、MIMO機能搭載の端末が上りリンク時にフルパワー稼働可能となる機能もサポートする。

5G NR MIMOの性能、効率、信頼性を改善
5G NR MIMOの性能、効率、信頼性を改善
出所:Qualcomm
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 超高信頼性低遅延通信強化

 工場自動化など新しい用途に向けては、超高信頼性低遅延通信を強化(eURLLC)している。遅延時間への厳しい制約に対応するため、CoMP(coordinated multi-point、協調マルチポイント)を導入し、multi-TRP(複数送受信ポイント)や空間ダイバーシティを活用して複数の通信経路を確保。ある経路が使用できない場合にも他の経路を使うことで通信中断を回避する。

 eURLLCで5Gシステムの信頼性と低遅延性を強化
eURLLCで5Gシステムの信頼性と低遅延性を強化
出所:Qualcomm
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省電力機能

 電池駆動機器の電力消費量を低減し、電池寿命を改善する、さらなる省電力機能も導入する。低消費電力モード時の通信保留や許可を通信するWUS(wakeup signal、ウェイクアップ信号)や、通信しない場合に待ち受け状態に移行し、定期的に基地局に問い合わせを行うDRX(discontinuous reception、間欠受信)にて問い合わせ間隔をさらに広げる機能を用意。その他、低消費電力設定の最適化や、オーバーヘッド低減、効率的な電力制御手法なども追加されている。

電力消費量低減を支援する機能
電力消費量低減を支援する機能
出所:Qualcomm
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無線アクセスネットワークと無線バックホール統合

 5G NRミリ波ネットワークのカバレッジ拡張時課題としては、光ファイバーによるバックホール設置が必要となるなど、基地局増設にかかる費用が挙げられる。今後のミリ波ネットワーク高密度化をコスト効率よく行うために、リリース16では、IAB(Integrated access and backhaul、無線アクセスネットワークと無線バックホール統合)を導入し、基地局から端末への無線アクセスと同時に無線バックホールも実現する。このIABを活用することで、さらに柔軟なネットワーク高密度化が可能になり、事業者が新しい基地局を迅速に増設できるようになる。

 IABでミリ波ネットワークサービス展開のコスト効率を改善
IABでミリ波ネットワークサービス展開のコスト効率を改善
出所:Qualcomm
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