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 国連の経済社会局(UNDESA)は2020年7月10日、国連加盟193カ国を対象とした電子政府の調査結果をまとめ、「世界電子政府ランキング」として発表した。ランキングの公表は2年ごとで、日本は前回18年の10位から4つ順位を下げて14位に後退。2012年の18位以来の低い順位に沈んだ。

表●国連電子政府ランキングの上位20カ国の変遷
表●国連電子政府ランキングの上位20カ国の変遷
(出所:UNDESAの資料を基に日経BPガバメントテクノロジーが作成。2014~2020年の国名の横はスコア(EGDI:e-government development index)。2018年と2020年は前回との順位変動も記載)
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 1位は前回に続いてデンマークだった。2位は韓国で前回より順位を1つ上げた。韓国は過去10年にわたりベスト3から外れたことがない。3位には前回16位から躍進したエストニアが入った。米国(9位)とオランダ(10位)が新たにトップ10入りし、代わりに日本のほかシンガポール(11位)やフランス(19位)がトップ10から脱落した。ただし今回新設した「最上位クラス」の分類が1~14位とされたため、日本はかろうじて枠内に滑り込んだ格好だ。

 同ランキングは電子政府に関して、オンラインサービスや人的資本、通信インフラの3分野の個別指標を基に「電子政府発展度指標(EGDI:e-government development index)」を算出して決定している。指標の範囲は0.0~1.0で、今回、世界全体の平均は0.60だった。2016年の0.49、2018年の0.55から堅調に伸びている。EGDI指標が0.75超のトップグループ(Very-High-EDGI)は、2016年が29カ国、2018年が40カ国で、2020年は57カ国まで増えた。

 今回、日本のEGDI指標値である「0.8989」は、前回の「0.8783」よりも高く、前回のランキングなら5位に相当する。調査報告書は、2018年1月にeガバメント閣僚会議(デジタル・ガバメント閣僚会議の前身)が決定した「デジタル・ガバメント実行計画」に言及しており、評価の対象になった可能性がある。日本について個別指標で見ると、通信インフラと人的資本の評価は前回より上がったものの、オンラインサービスの評価が下がったことで、指標が伸び悩んだ。ランキング上位国は指標を大きく伸ばした国が多く、相対的に日本の順位が下がる結果となった。

 2018年の調査でパイロット版として始めた電子自治体ランキングは、対象を前回の40都市から100都市に拡大して実施した。日本の都市では、前回19位だった東京が24位に入った。1位はマドリード(スペイン)、2位はニューヨーク(米国)、3位はタリン(エストニア)、4位はパリ(フランス)、5位はストックホルム(スウェーデン)。アジアの都市では、9位にソウル(韓国)と上海(中国)、12位にイスタンブール(トルコ)、16位にドバイ(アラブ首長国連邦)が入った。