米グーグル(Google)は2020年7月14日(米国時間)、複数のクラウドサービスを横断してデータを分析できる新機能を提供すると発表した。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなど他社のクラウドに格納したデータをまとめて利用できる。
「BigQuery Omni」として、グーグルの主力の分析サービスBigQueryを、Google CloudだけでなくAWSでも利用できるようにした。アルファ版を特定ユーザー向けに提供している。AWSのリージョンは米国の「us-east-1」が対象で随時拡大していく。Azureについては近日中に対応する。
BigQueryの統一したユーザーインターフェースで、各クラウドに格納したデータを移動したり、複製したりすることなく、分析できるようになる。Google Cloudに格納したアプリケーションのログデータを、AWS S3のオブジェクトストレージに格納した非構造化データと連携させて分析することが可能になる。Google Cloudのエンジニアリング部門データ分析担当のデバンジャン・サハ ゼネラルマネージャー兼バイスプレジデントは「分析のためGoogle Cloudに転送する際の多額の費用を必要とせず、サイロ化を解消できる」と説明する。
2020年7月14日からのオンライン年次イベント「Next '20」に合わせて新機能を発表した。2019年の同リアルイベントで発表した、コンテナ化したアプリケーションの実行基盤である「Anthos」を活用している。
このほか仮想マシンサービスの「Compute Engine」でデータを演算処理している最中でも暗号化が可能な「Confidential Computing」を合わせて発表した。Confidential Computingの最初の対応製品として、仮想化実行環境である「Confidential VMs」を提供。AMDのプロセッサー環境で稼働し、メモリー内のデータを暗号化できる。
米大手銀行のJPモルガン・チェースの幹部が同機能を支持するコメントを出している。現在は米国、シンガポール、オランダ、ベルギーのリージョン向けにベータ版を提供しており、2020年秋には他の地域でも利用できるようにするという。AMD以外のプロセッサー環境にも対応を計画しており、異種環境間での連携も検討している。