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 ANAホールディングス(ANAHD)、旭川医科大学、調剤薬局運営のアインホールディングスなどは2020年7月19日、ドローンを使用して処方薬を輸送する実証実験を北海道旭川市内で実施した。オンライン診療やオンライン服薬指導と組み合わせ、ドローンで処方薬を配送した。特別養護老人ホームに入居する高齢者が、通院や処方薬の受け取りによって新型コロナウイルスに感染するリスクを避けられる。国によるドローンの飛行制限の緩和が見込まれる2022年以降の事業化を目指す。

インスリンの練習用キットを積み込み、調剤薬局から特別養護老人ホームへ飛行するドローン
インスリンの練習用キットを積み込み、調剤薬局から特別養護老人ホームへ飛行するドローン
(出所:ANAホールディングス)
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 市内の特養に入居する高齢者がオンライン診療により旭川医大の医師の診察を受け、大学からアインホールディングスが運営する大学近隣の調剤薬局へ処方箋を発行。調剤薬局の薬剤師が高齢者にオンラインで服薬指導をした後、ドローンに処方薬を積み込んで特養へ輸送する。ANAHDによると、一連の取り組みを組み合わせた実証実験は国内初という。ドローンはエアロセンス製で、飛行ルートの全長は約540メートルである。

 今回の実証実験では、糖尿病患者がインスリンの処方を受けるケースを想定し、インスリンの自己注射の練習用キットと交換用の注射針を積み荷とした。実物のインスリンは夏場の暑さで変質する場合があるため、蓄熱材や温度ロガーを入れた医薬品用保冷ボックスを使って梱包した。重さは処方薬が90.1グラム、保冷ボックスが1.45キログラム。

今回の実証実験で使用した、保冷ボックスを装着したエアロセンスのドローン
今回の実証実験で使用した、保冷ボックスを装着したエアロセンスのドローン
(出所:ANAホールディングス)
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 実験の意義についてANAHDの久保哲也デジタル・デザイン・ラボ チーフディレクターは「新型コロナ対策で非対面の処方薬受け渡しや服薬指導が期間限定で認められ、遠隔医療の浸透が加速している。今回の実証実験のようなドローンへの配送ニーズも高まっている」とする。特に離島と本土間での輸送や、血液、尿、PCR検査の検体といった限られた時間内で検査する必要がある検体の輸送などで「ドローンならば必要に応じて迅速に輸送しやすい」メリットがあると強調する。