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 旭化成エレクトロニクスは、特定の音に反応してシステムを起動するIC「AK5706」を発売した(ニュースリリース)。同社独自の「音響解析機能(AAA:Acoustic Activity Analyzer)」や、ウェイクアップ制御回路、A-D変換器、オーディオバッファー回路などを1チップに集積した。音響解析機能にあらかじめ設定しておいた音を検出すると、内蔵したA-D変換器や外付けのSoC(System on a Chip)に起動信号(ウェイクアップ信号)を出力する。「発売したICを起動トリガーとして利用することで、SoCを搭載するシステム本体をスリープ状態にできるため、待機時消費電力を大幅に削減できる」(同社)という。音声アシスタント機能を搭載したウエアラブル機器や、ガラスの破壊音など異常音を検知するセキュリティー機器、ノックの音に反応して解錠するスマート・ドア・ベルなどに向ける。

特定の音に反応してシステムを起動するICの応用例
特定の音に反応してシステムを起動するICの応用例
旭化成エレクトロニクスのイメージ
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 音響解析機能は、同社独自の低消費電力アナログ技術で実現したという。この機能の消費電流は30μAと少ない。低い周波数と高い周波数に向けた帯域通過フィルターを搭載する。その後フィルタリングした音を、ノイズレベル検出器(Noise Level Detector)と周波数解析器(Frequency Analyzer)、時間解析器(Time Analyzer)を使って分類する。「例えば、人間の声は一般に、周波数が低く、長い時間続く。そのため音声アシスタントの起動ワードを検知する場合は、低い周波数で長く続く音を検出するように設定する。ドアを叩く音で起動する場合は、低い周波数で短い時間の音を検出するように設定する。このほか警報音などのパターン音を検出することも可能だ」(同社)。

音響解析機能(AAA:Acoustic Activity Analyzer)の内部構成と音声分類方法
音響解析機能(AAA:Acoustic Activity Analyzer)の内部構成と音声分類方法
旭化成エレクトロニクスの資料
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 内蔵したA-D変換器は、音響解析機能が起動信号を出力し、SoCなどのシステムが起動するまでの期間、周囲の音を記録する役割を担う。オーディオバッファー回路の記憶容量は64Kバイトで、最大2秒の音を記録できる。記録したデータはSPIインターフェースを介して読み出せる。A-D変換器は2回路集積し、ステレオ録音に対応する。分解能は24ビット、ダイナミックレンジは105dBと広く、全高調波歪み+雑音(THD+N)は−90dBと小さい。このため、「5m程度の離れた場所で発生した音に反応することが求められるセキュリティー機器に適用できる」(同社)という。1チャネル当たりの消費電力は0.85Wと少ない。

 マイクロホンアンプやPLL回路、LDOレギュレーター、クロック発振回路などを集積した。電源電圧は+1.8Vと+3.3V。パッケージは、実装面積が2.668mm×2.695mmの32端子CSP。動作温度範囲は−40〜+85℃。すでにサンプル出荷を始めている。販売は2020年秋に開始する予定だ。価格は明らかにしていない。