特許庁は2020年7月27日、国内外の人工知能(AI)に関する特許出願動向の調査報告書をとりまとめたと発表した。国内の2018年の出願は前年比54%増の4728件と過去最高だった。技術別では深層学習に関連するものが過半数を占め、出願人別ではNTTが最多だった。
1988年から2018年までに国内で出願された、深層学習などのAIのコア技術に関する発明のほか、AIを各技術分野に適用した出願を調査した。AI関連の特許出願は第三次AIブームに当たる2014年以降に急増しており、2018年は全体で前年比54%増の4728件、AIコア技術のみでは前年比65%増の1527件だった。
AI技術の適用分野としては画像診断、情報検索・推薦が大きな割合を占める。近年は医学診断、制御系・調整系一般、交通制御などの伸びが大きい。
技術別では、深層学習に関連するものが2014年以降に急増した。2014年は53件だったのに対し、2018年は2474件だった。このうちCNN(Convolutional Neural Network)に関連するものが1185件、RNN(Recurrent Neural Network)またはLSTM(Long Short-Term Memory)に関連するものが563件、深層強化学習に関連するものが75件だった。
出願人別では、AI関連発明全体ではNTTが最も多く、富士通、日立製作所、ファナックが続いた。深層学習に限っても1位はNTTで、2位以下はファナック、富士通、キヤノンとなった。
海外に比べると国内の出願数は見劣りする。2012年から2017年のAIコア技術に関する出願数の比較では、各国・地域とも大きく伸びた中、2017年は中国が6858件、米国が5954件と突出しており、これに対し日本は803件だった。