NTTドコモは、試作や少量生産品などの発注を検討する企業と中小製造業の取引を人工知能(AI)を活用して仲介するサービス「製造業受発注マッチングプラットフォーム」を開発した。2021年春の商用化を目指し、2020年8月3日からトライアルサービスを提供する〔NTTドコモのプレスリリース(PDF)〕。

 新サービスは[1]デジタルマッチング、[2]デジタル取引支援、[3]キャッシュフロー安定化、の3つの機能によって受発注企業のマッチングおよび発注から支払いまでの一連の取引を支援する(図)。[1]では、受注側が得意とする加工方法や素材、サイズ、保有設備などを登録すると、その内容から「強み」を分析。発注側が発注要件を登録すると、AIが「強み」と発注案件の情報を照合してマッチングする。受注側の企業にとっては、自社の強みを生かせる取引を全国から獲得できるのが利点だ。発注側は、全国の中小製造業の中から要件に合った企業を見つけやすくなる。

図:「製造業受発注マッチングプラットフォーム」の利用イメージ
図:「製造業受発注マッチングプラットフォーム」の利用イメージ
(出所:NTTドコモ)
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 [2]では、一連の取引に必要な作業をインターネット上で実現する。取引の上で不明点などがあれば、チャット機能を用いて直接のやり取りが可能。支払いや請求についてはNTTドコモが担うので、会社ごとの口座登録や、書面による契約書の取り交わしは不要だ。[3]としては、発注側が検収処理した後の支払いを保証する「支払い保証」機能を提供する。さらに、受注側が支払いを早期に受けられる「早期現金化」機能の開発も検討しているという。

 同社によると、中小製造業は事業所数・従業者数共に減少傾向にあり、営業力・販売力の強化、コストの削減、財務体質の改善、後継者の育成、事業承継など、さまざまな課題を抱えている。中でも、キャッシュフロー安定化のための売上確保に対する課題意識が高いという。さらに最近の課題として、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う海外からの供給網の断絶・遅延、メーカー各社の工場停止や生産量抑制による取引件数の減少がある。しかし、多くの中小製造業の取引相手の多くが「従来の取引先」「自社所在地周辺のネットワーク」であるため、発注側の要望に対応できる受注先が存在するにもかかわらず、受発注の機会損失が発生しているという。同社は、こうした機会損失の防止と、中小製造業の取引支援を目的に新サービスを開発した。

 トライアルサービスの開始に先立ち同社は、発注・受注側の両方で参加企業を募集している。機能を限定したサービスを提供し、参加企業はそれらを無料で利用できる。対象としているのは自動車や家電などの加工組み立て型産業における試作や少量生産品。図面に基づく個別受注型の部品加工を想定している。加工方法でいうと切削・研削・放電加工や板金加工、3Dプリンターによる部品加工が対象となる。プレス成形や射出成形、組み立てなどの量産向け加工品は対象外。