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 日産自動車は2020年9月3日、炭素繊維強化樹脂(CFRP)部品を量産化するため、金型内で炭素繊維に樹脂を含浸する過程を精密にシミュレーションする技術を開発したと発表した。この技術により、CFRP部品の開発期間が50%短縮でき、課題であった低コスト化が実現できるとしている。

(写真:日産自動車)
(写真:日産自動車)
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 欧州などでCO2規制が厳しくなり、燃費向上が急務となっている。CFRP製部品は鋼製より軽量で強度と剛性が高いので、採用が進めば車体を軽量化でき、燃費性能や走行性能の向上につながる。しかし、原料の炭素繊維が高価なことと成形の難しさが量産化への課題だった。

 CFRP部品は、炭素繊維を部品形状に整えて金型にセットし、樹脂を注入して炭素繊維に均一に含浸、硬化させることが重要だ。含浸に最適な部品形状や金型を設計するには、樹脂の流れを確認する必要がある。今回同社は、透明な金型を採用して炭素繊維間の間を流れる樹脂を可視化した。またシミュレーション精度を上げるため、樹脂の流れにともなう温度変化を測定する温度センサーを設置した。これにより樹脂の含浸度合いをシミュレーションで精密に予測する技術を開発した。

 金型で成型する場合、炭素繊維の繊維方向に沿って樹脂が流れる溝(ビード)を金型内に配置する。この配置をシミュレーションで最適化できるようになった。これまで含浸度合いを確認するため何度も金型を試作していたが、その必要がなくなるため開発期間が短くなり、コストを低減できるという。

 また、金型を閉め切った状態で樹脂を注入し炭素繊維に含浸させるRTM(Resin Transfer Molding)工法ではなく、金型を閉め切らず隙間を作った上で樹脂を注入し炭素繊維に含浸させるC-RTM(Compression Resin Transfer Molding)工法を採用し、高品質なCFRP部品を成型する生産技術を開発した。この技術により、成形時間の80%短縮が可能になるとしている。