ソニーは2020年9月10日、10億円規模の環境技術系ファンドを創設したと発表した()。ベンチャー企業に投資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みと10年後を見据えた投資リターンの両立を目指す。社内外を問わず環境技術を開発する複数の企業に、3~5年の期間で投資する。「新型コロナウイルスの影響は無視できないが、長期的な視点を持つうえでは地球環境に取り組む必要がある。ビジネスチャンスもあるはずだ」と同社の副社長兼R&Dセンター長である勝本徹氏は語った。

図 ESG説明会に登壇したソニーの会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)である吉田憲一郎氏
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図 ESG説明会に登壇したソニーの会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)である吉田憲一郎氏
(出所:ソニーの配信動画をキャプチャー)

 新たに創設したソニーの環境技術系ファンド「Sony Innovation Fund:Environment」が投資するのは、気候変動や生物多様性の改善などの技術開発に取り組む企業だ。ベンチャー企業の初期段階であるシード/アーリーステージが対象となるため、ファンド規模は10億円で開始するという。最初の投資候補となるのは、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が開発している「協生農法」関連分野だ。協生農法は植物が育つ生態系を人為的につくりだす技術で、砂漠の緑地化に貢献できる。同社専務の神戸司郎氏は「投資は20年末から21年初頭に開始し、10年程で相応のリターンを実現したい」と明かした。

 同社は長期的な研究開発に関しても、コロナ禍でも継続して実施していく姿勢を示した。従来通り、同社の研究開発組織のR&D費用(年間約500億円)の5%以内を、長期的な研究開発分野に充てる方針だ。勝本氏は「量子コンピューター関連の技術など10年以上先の基盤技術を開発することで、今後のトレンドの変化に対応していきたい」と語った。