芝浦工業大学は、ボルトの緩みを低コストで定量評価できる手法を開発したと発表した。機械機能工学科教授の細矢直基氏や、英エジンバラ大学工学部のFrancesco Giorgio-Serchi氏らの研究グループによる成果。超音波領域の振動を計測し、ボルト先端部の周波数(固有振動数)と軸力の相関からボルトの緩み(軸力の低下)を検出する。

* 芝浦工業大学のニュースリリース:https://www.shibaura-it.ac.jp/news/nid00001232.html

 研究では、ボルト・ナット締結体の数カ所をハンマーでたたいて振動させ、加速度計でボルト先端部分の固有振動数を計測した(図1)。その結果、ボルト先端部の固有振動数と軸力の間には明確な関係があると確認できた(図2)。具体的には、ボルトが締まっているときは先端部の振動モード形の固有振動数が多く、細かく速く揺れる。ボルトが緩むにつれて固有振動数は減少し、大きくゆっくりと揺れるようになる。よって、ボルト先端部の固有振動数の変化を調べることで、軸力の評価が可能だとする。

図1:測定方法
図1:測定方法
1~6が加振箇所。(出所:芝浦工業大学)
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図2:軸力と固有振動数の関係
図2:軸力と固有振動数の関係
ボルト先端部の固有振動数と軸力に相関関係があることが確認できた。(出所:芝浦工業大学)
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 ボルトの緩みを検出する方法としては、ハンマーでたたいた音の変化を点検者が聞いて判断する打音検査が主流だ。しかし、この方法では点検者の技量によるバラツキが大きく、緩みの度合いを定量評価するのは難しい。トルクを測定する方法もあるが、座面の摩擦特性が変化するので、軸力を正確に測るのは困難だという。

 それらに対して新手法は、点検者の技量や熟練度に依存することなく、緩み度合いの定量評価が可能だ。人には聞こえない超音波領域の振動を利用するため、打音検査では捉えられない微妙な緩みも検知できる。将来は、遠隔計測や自動化への対応も可能だとしている。

 研究グループは現在、企業と共同研究を進めており、この手法を用いた検査の実現に向けてシステム作りに取り組む。汎用の振動装置を使って低コストでシステムを組めるため、発展途上国での実用化も期待できるという。