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 TDKは、300k〜3MHzの中波(MF)帯域と3M〜30MHzの短波(HF)帯域の雑音対策に向けた車載機器用フェライトビーズ「MHF1608シリーズ」を開発し、2020年9月に量産を開始する(ニュースリリース)。積層型のフェライトビーズである。同社は、「ノイズ・サプレッション・フィルター」と呼ぶ。まずはインピーダンスや定格電流などが異なる4製品を用意した。いずれも、車載用バッテリー・モニタリング・システム(BMS)やカーオディオ、カーナビゲーションなどの伝導雑音対策に向ける。

中波〜短波の雑音対策向け車載用フェライトビーズ
中波〜短波の雑音対策向け車載用フェライトビーズ
TDKの写真
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 これまでフェライトビーズは主に、数十MHz〜数GHzの高周波帯域雑音の除去に向けて開発が進められてきた。そのため、雑音除去特性を示すインピーダンスは、100MHzでの値で規定するのが一般的だった。しかし同社によると、「最近、100MHz以下の低周波帯域の伝導雑音を効率的に取り除きたいという要求が、BMSを扱う車載関連機器メーカーで強くなっている」という。電源関連回路で発生した雑音の信号ラインへの回り込みなどが原因のようだ。

 そこで同社は、300k〜30MHzの低周波帯域におけるインピーダンスを高めたフェライトビーズの開発を始めた。今回は、低周波帯域での損失が大きく、透磁率が高いフェライト材料を新たに開発した。フェライトの材料系はNiCuZn系である。材料系自体は、高周波帯域向けフェライトビーズと同じだ。ただし、今回は、材料系の組成を最適化するとともに、それに新しい添加剤を加えることで低周波帯域のインピーダンスを高めた。

 新製品では、100MHzに加えて、10MHzと1MHzの低い周波数でもインピーダンスを規定した。例えば、発売した4製品のうちの1つである「MHF1608BAC352ATD25」は、1MHzにおけるインピーダンスが380Ω(標準値)、10MHzが3500Ω(標準値)、100MHzが1890Ω(標準値)である。同社によると「1MHzと10MHzと低い周波数におけるインピーダンスは業界最高レベルを達成した」という。DC(直流)抵抗は1.8Ω(最大値)。定格電流は170mA(最大値)である。

4製品の主な電気特性
4製品の主な電気特性
TDKの表
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 外形寸法は、4製品いずれも1.6mm×0.8mm×0.8mm。いわゆる「1608サイズ」である。車載用受動部品の品質規格「AEC-Q200」に準拠する。使用温度範囲は−55〜+125℃と広い。量産規模は当初、月産500万個を予定している。サンプル価格は4製品いずれも30円である。

 今後同社は、定格電流をより高める開発に取り組む考えだ。大きな電流が流れる車載機器の電源関連回路の雑音対策に向ける。「次のターゲットとなる定格電流は2〜3A。ただし、その場合は今回のフェライト材料では十分に高いインピーダンスが得られない。新たな材料開発からスタートする予定だ」(同社)。