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 米Qualcomm(クアルコム)は2020年9月17日、世界初とするミリ波5G NRの長距離データ通信実験の様子を公開した(Qualcommのブログ)。同年6月20日にオーストラリアのビクトリア州にて、FWA(Fixed Wireless Access、固定無線アクセス)用CPE(Customer Premise Equipment、顧客構内装置)を使った3.8km間のデータ通信を実施。今回(同年9月17日)は、米国ウィスコンシン州の商用ネットワークにFWAを設置して、5km間の100Mビット/秒(bps)を超える通信に成功している。

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出所:Qualcomm
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 今回の実験には、米Casa SystemsとスウェーデンEricssonが参加している。Casa Systemは、FWA用CPEとして、長距離ミリ波対応5Gブロードバンドモデム「AurusAI」を提供。この製品には、QualcommのSnapdragon X55 5Gモデム-RFシステムとQTM527ミリ波アンテナモジュールが搭載されており、上記オーストラリアでの実験後の同年9月に新製品として発表している。

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出所:Qualcomm
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 EricssonはAIR 5121とBaseband 6630を提供し、実験の模様を紹介している(Ericssonのプレスリリース)。

出所:Ericsson
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 Qualcommは今回の結果を受けて、ミリ波が高密度通信サービスに限られるとの認識が再定義されたとする。また、FWAが有線に代わるコストパフォーマンスに優れた通信手段であるだけではなく、今日のモバイル優先の社会において、コネクティビティー格差を解消するソリューションになるとしている。

 同社は、具体的な長距離対応5Gミリ波を使った固定無線の活用法として、次のような例を挙げている。

  • 小規模の自治体にて、5G対応FWAを図書館や体育館、レクリエーションセンサーなどに配備することで、これまで高速ネットワークにアクセスできなかったコミュニティーに、有線と同様の通信速度や新たな体験を、より低価格で提供できる
  • 都市部から遠い地域にある中小企業での、SNS上でのブランド管理、支払処理、製品の発送、売り上げ増加に向けたデータ解析の活用などを実現し、事業拡大、事業成長を支援する
  • 農村地帯、例えば光ファイバーの導入はコスト面で難しい中小規模の家族経営の農場などにて、基地局と牛舎などの構造物へのCPEを設置し、カメラやセンサーでデータ収集することで、家畜の遠隔監視を可能にする

 同社は、今後もこうしたコミュニティーに向けて、世界中の機器メーカーやサービスプロバイダーとともに、FWAと5Gを使った強力なコネクティビティーを提供し続けていくとしている。