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 ルネサス エレクトロニクスは、オープンソースのプロセッサー命令セット「RISC-V」ベースのCPUコア(以下RISC-Vコア)を使って、ASSP(Application Specific Standard Product:応用先を絞った汎用IC)を開発する(ニュースリリース)。同社がRISC-Vを採用するのは、今回が初めて。台湾Andes TechnologyのRISC-Vコアを集積したASSPを開発し、2021年下期にサンプル出荷を開始する予定。

 現在、携帯電話機/スマートフォン向けSoCや32ビットマイコンでは、広く英ArmのCPUコア(以下、Armコア)が普及している。一方でArmコアの普及が進み過ぎて独占状態になることを懸念する声もある。研究者や大学、企業などが「RISC-V Foundation」と呼ぶ組織を設立し、Armコアに対抗すべく、プロセッサーの命令セットなどを定義してオープンソースで公開している*1。当初は大学や研究所といった限られたユーザーだけが使っていたが、最近は中国の半導体メーカーなどが商用SoCでも積極的に利用している。

 市場の拡大を見込み、独自CPUコアを開発・提供していた中小規模の設計ハウスが、独自CPUコアに見切りをつけてRISC-V仕様のCPUコア(以下RISC-Vコア)事業に乗り出している。今回、ルネサスがCPUコアの調達先に決めた台湾Andes Technologyもそうした設計ハウスの1社と言える。例えば、同社は2015年に独自CPUコアの新製品発表を行っているが*2、その後はRISC-Vコア事業のアピールが盛んである*3、*4。Andesは32ビット版と64ビット版のRISC-Vコアを開発提供しており、ルネサスが今回、32ビット版を採用した。

独自コアやArmコアとは使い分ける

 ルネサスは独自のCPUコアを持つほか、1年ほど前からArmコアのマイコン製品にも本格的に乗り出した*5。同社によれば、ルネサス独自コアマイコンやArmコアマイコンは広く普及していることから、広範な用途に向けたマイコンやSoCでは独自コアやArmコアを使う。一方、用途を特定したASSPでは、Armコアに比べて拡張(カスタマイズ)の制限が極めて少ないRISC-Vコアを利用することで、その用途に最適なCPUコアに仕立てることが可能になり、市場競争力の高いASSPが開発できるという。

 上述したように、RISC-Vコアを提供するベンダーは数多いが、その中からAndesを選んだ理由をルネサスは次のように説明している。まず、実績が豊富なこと。Andesによれば、同社のCPUコアを集積したIC/SoCの出荷個数は50億個を超えているという。また、「カスタマイズできる機能が豊富でかつカスタマイズが容易なこと、そして堅ろうなセキュリティー機能を備えていることに着目した」(ルネサス)とのことだった。

 ルネサスは、現時点で、RISC-Vコア搭載ASSPのアプリケーションを明言していないが、このASSPにはルネサス製のファームウエアが搭載される予定。また、アプリケーションプログラムのパラメーター設定専用のユーザー・インタフェース・ツールを提供予定で、これによりユーザーは容易に最適なソリューションを手にできるという。

■変更履歴
この記事の掲載当初、社名に誤りがありました。Andes Technologiesは誤りで、正しくはAndes Technologyでした。お詫びして訂正致します。現在、本文は訂正済みです。