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 東京証券取引所は2020年10月1日夜、同日に発生したシステム障害と外部への情報発信の経緯を時系列で明らかにした。

 同社によれば、東証の売買システム「arrowhead(アローヘッド)」のディスク障害を検知したのは10月1日7時4分。本来であれば同日7時0分に送信すべき電文の送信ができていなかったが、その旨を証券会社に通知したのは送信予定時刻から約1時間過ぎた8時1分だった。

 その約1時間後の8時54分にはarrowhead と証券会社間の発注系経路を遮断。9時26分には共有ディスクの2号機への強制切り替えを完了していたが、結局11時45分に終日売買停止をすることを全利用者向けにWebサイト上で通知した。

システム障害と外部への情報発信の経緯
(東京証券取引所の資料などを基に日経クロステックが作成)
時刻事象
7時4分「arrowhead(アローヘッド)」 のディスクに障害が発生したことを検知し、影響調査を開始。情報配信機能・管理機能に問題があることが判明し、原因箇所の特定を始める。
8時1分情報配信機能によって7時0分に送信されるべき電文が送信できていないことを証券会社システム担当に通知
8時23分復旧のめどが立っておらず、売買・相場への影響確認中であることを証券会社システム担当に通知
8時36分売買停止をすることを証券会社の売買責任者に通知
8時39分売買停止をすることを全利用者向けにWebサイト上で通知
8時52分名古屋・札幌・福岡の各取引所でも売買停止することを証券会社システム担当に通知
8時54分arrowhead と証券会社間の発注系経路を遮断
9時26分共有ディスクの2 号機への強制切り替えを完了
11時45分終日売買停止をすることを全利用者向けにWebサイト上で通知
11時57分終日売買停止することを証券会社の売買責任者に通知
16時30分東京証券取引所が記者会見を実施。システム障害の原因がarrowheadを構成する運用系ネットワークに含まれる共有ディスク装置1号機のメモリーの故障であることを公表
19時25分10月2日の売買を通常通り実施することを全利用者向けにWebサイト上で通知。併せて証券会社の売買責任者にも通知

 システム障害に関する情報発信を巡っては、東京証券取引所の宮原幸一郎社長が10月1日の記者会見で「原因究明に相当の時間を費やして慎重にやってきた。ここではないかと想定された時点で速やかに情報発信をしてきたつもり」とした。関係者に適切なタイミングで情報発信できていたか、終日売買停止という判断は適切だったか、詳細な検証が求められそうだ。

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