日本アビオニクスは、締結部品や接着剤を使わずに炭素繊維強化熱可塑性樹脂(熱可塑性CFRP)とアルミニウム(Al)合金を接合する異種材料接合技術を開発した(図1)。同社の接合装置「パルスヒートユニット」を使用し、およそ5×20mmの範囲を直接接合した場合に引っ張りせん断強度で30MPaの接合強度を得られた。

図1:新技術で接合した部品のサンプル
図1:新技術で接合した部品のサンプル
(出所:日本アビオニクス)
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* 日本アビオニクスのニュースリリース:https://www.avio.co.jp/news/html/201006.html

 新技術では、接合物に圧力をかけて押さえつける溶接用ヘッドにパルスヒートユニットから電気を流し、抵抗発熱で加熱して対象物を接合する(図2)。ヘッドに搭載した金属製のヒーターチップには熱電対を装着。熱電対で温度をフィードバックし、精密に温度を制御することで、加熱過多による樹脂の劣化を抑えながら異種材を接合できる。

図2:「パルスヒートユニット」(左)ヘッド(右)
図2:「パルスヒートユニット」(左)ヘッド(右)
(出所:日本アビオニクス)
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 接合物には事前に表面処理を施す。この表面処理は薬品を使用しないドライプロセスで、接合エリアを選択的に処理でき、接合範囲外への影響を抑えられる。

 同社によると、熱硬化性CFRPは航空機・自動車分野を中心に採用が増えている半面、2次加工が難しい、冷蔵管理が必要、量産性が低い、リサイクルが困難などの短所があることから、熱可塑性CFRPへのニーズが高まっている。今後、小型情報機器や小型精密部品でも熱可塑性CFRPと金属の接合部品の採用が見込まれる。しかし、金属と熱可塑性CFRPの接合方法としては、ボルトなどで締結する機械的な接合や接着剤を用いた接着接合が主流。同社は、締結部品や接着剤を使わない接合技術が求められると見て、新技術を開発した。

 新技術で異種材を接合すれば、製品の小型化・軽量化が可能で、部品点数と工数を減らせる。接着剤を使わないため環境負荷を低減できる、接着剤の管理にかかる手間を省けるといった利点もある。同社は今後、接合強度と耐久性の向上を図るとともに、汎用性の高い樹脂材料や他の金属材料にも応用するなど、適用範囲を拡大していく。