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 理化学研究所は2020年10月13日、スーパーコンピューター「富岳」によるウイルスの飛沫シミュレーションの結果を報告した。2020年6月の1回目、同年8月の2回目の報告に次いで3度目の中間報告という位置づけ。フェースガードやマスクの有無、湿度の違いによる飛沫のシミュレーションに加え、コンサートホールにおけるコーラス(合唱)の際の飛沫の動きなどを検証した。

 縦1.4メートル、横2.4メートルの机に4人が着席している場面を想定し、湿度を30%、60%、90%としたときの飛沫拡散をシミュレーションした。話している人の正面に座っている人に届く飛沫の量は、湿度が30%のときは60%以上の場合の2倍以上になることが明らかになった。

 机に落ちる飛沫の数についても検証した。湿度が90%のときは、60%以下の場合と比べて机に落ちる飛沫の数が約2倍になった。研究チームを率いる理研の坪倉誠教授(神戸大学教授)は「湿度が高い場合は机の上などを触ることによる接触感染のリスクが高くなるが、手洗いやアルコール消毒の効果に加えて人が座った場所をみれば飛沫が落ちた場所を想像できるため対策しやすい。ところが空気中を漂う飛沫は目には見えないため感染対策が難しく、加湿する際は60%が一つの目安になるのではないか」と語った。

シミュレーション結果の例
シミュレーション結果の例
(出所:神戸大学、理化学研究所)
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 機械的な換気が行き届いているコンサートホールで合唱をした場合の感染リスクについても、人の密度やマウスガードの有無を変えてシミュレーションした。ステージ上で合唱する人同士の間隔を前後や左右に広げた結果、大きい飛沫が前列へ到達するリスクは低減したものの、空気中を漂う小さい飛沫が拡散しにくくなった。坪倉教授は「人の密度が下がると体温による上昇気流が弱まるためだと考えられる」とした。マウスガードの着用によって前方への飛沫の拡散が減ったが、「マウスガードがコーラス時の安全性を保障するわけではない」(同氏)と念を押した。