政府は2020年10月15日、次世代Webのアーキテクチャー構築に向けた議論を始めた。慶応義塾大学の村井純教授が座長を務め、2021年3月までに新しいネットワークアーキテクチャー「Trusted Web」の提案を作成。4月に開催される世界経済フォーラムの会議で各国政府や企業に向けて提案し、実装を呼びかける計画だ。

 内閣官房デジタル市場競争本部に「Trusted Web推進協議会」を新たに設置し、15日に第1回会合がオンラインで開催された。冒頭で西村康稔経済再生担当大臣は、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にはトラスト(信頼)に基づいたデータ流通が必要だとしたうえで、「自らがデータ管理し、それを通じてトラストが担保されるデータガバナンスをインターネット上に構築することが重要だ」として設置意図を説明した。

 座長の村井教授は同協議会では「デジタル社会に基盤となるアーキテクチャーを聖域なく議論していく」として、インターネットインフラ、オペレーティングシステム(OS)、プロトコル、Web、暗号化技術など幅広く議論し、全体のアーキテクチャーとして取りまとめていくとした。

 「Trusted Web」の実現は、日本が20カ国・地域(G20)会合で提唱した「信頼性のある自由なデータ流通(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)」の具体化と位置付ける。2021年3月にホワイトペーパーとして取りまとめるが、実装には各国のIT企業などが参画する必要がある。15日の会合では、「実装のためには、ホワイトペーパー公開前にグローバルな専門家も含めて議論するべき」、「ターゲットは企業の経営者も含まれる。マネタイズがついてこないと絵に描いた餅になるため、そこも意識するべきだ」との指摘があった。