日産自動車が開発した超軽量のボディーサイドパネルが、米Altair(アルテア)と米国CAR(Center for Automotive Research)が共催する「第8回Altair Enlighten Award」の「軽量化構想部門」で2位を受賞した。Altairの日本法人であるアルテアエンジニアリング(東京・中央)は2020年10月20日、日産を表彰したと発表した(図1)。開発品は、アルミニウム(Al)合金と炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)を組み合わせて約50%の軽量化を実現しており、「電動化に拍車をかけるインパクトがある」(日産)という(図2)。

図1:日産自動車 先端材料・プロセス研究所主査の竹本真一郎氏(右)とアルテアエンジニアリング 社長の加園栄一氏(左)
図1:日産自動車 先端材料・プロセス研究所主査の竹本真一郎氏(右)とアルテアエンジニアリング 社長の加園栄一氏(左)
(出所:アルテアエンジニアリング)
[画像のクリックで拡大表示]
(出所:日産自動車)
図2:開発品と従来品との比較
左が従来の鋼板製ボディーサイドパネル、右が新開発の超軽量ボディーサイドパネル
[画像のクリックで拡大表示]

 Altair Enlighten Awardは、自動車産業における軽量化技術を対象とする賞。「完成車部門」「モジュール部門」「軽量化実現技術部門」「軽量化構想部門」があり、このうち軽量化構想部門は、まだ市販車に利用されていない革新的なアイデアや開発手法、素材、技術を評価する。

 新開発のボディーサイドパネルは、位相最適化(トポロジー最適化)計算を用いてCFRTP部分の形状を設計し、Al合金と組み合わせたもので、1度の射出成形で製造できる。従来の鋼板製ボディーサイドパネルが14の部品から成り、それぞれをプレス成形した後に溶接して造るのに対して、開発品は部品点数の削減と製造時間の短縮、コスト削減が可能だ。

 CFRTPはコストが高いため、設計に当たってはCFRTPの使用量を最小限に抑えつつ、効果的にAl合金を補強できる構造を検討した。加えて、CFRTPは繊維を編むとコストがさらに高くなることから、短い炭素繊維(短繊維)を混ぜた樹脂で射出成形する方法を採用した。これにより、工程の簡素化と部品点数の削減を同時に実現している。トポロジー最適化や繊維配向の解析には構造最適化ソフト「Altair OptiStruct」を、衝突安全解析には非線形構造解析ソフト「同 Radioss」を使用した。

 日産によると、金属とCFRTPのマルチマテリアル化における課題の1つは、製造プロセスの検討における樹脂流動解析と熱解析の連成にあるという。従来は金属の専門家が熱解析を、樹脂の専門家が流動解析を担当していたが、開発品では製造担当者が両方を実施。現状は熱解析と流動解析をうまく連成できていないため、1つ1つの解析に時間がかかっているという。同社は今後、こうした課題の解決にも取り組みながら、ボディーサイドパネルを量産できるプロセスを目指す。