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 TDKは、大型インバーターのDCリンクに向けた電力用フィルムコンデンサー「ModCap」を発売した(ニュースリリース)。製品型番は「B25645AxxxxK003」である。IGBTベースの大型インバーターのDCリンク部に入れる平滑コンデンサーとして使える。具体的な応用機器は、太陽光発電システムや風力発電システム用インバーター装置や、鉄道のトラクションインバーター装置、産業用インバーター装置、無停電電源装置(UPS)などである。「太陽光発電システムであれば、出力電力が1MWを超えるメガソーラー用インバーター装置に適している」(同社)。

大型インバーターのDCリンクに向けた電力用フィルムコンデンサー
大型インバーターのDCリンクに向けた電力用フィルムコンデンサー
TDKのイメージ
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 新製品の特徴はケースの形状と電極の構造にある。同社従来品は円筒の金属ケースを使っていたが、新製品は直方体のプラスチックケースを採用した。このケースの形状変更により、静電容量を稼ぐためにコンデンサーを並列接続した際の実装面積を削減できる。円筒の従来品では、複数のコンデンサーを並べるとデッドスペースができてしまい、実装面積が大きくなっていたが、直方体の新製品では並べてもデッドスペースができない。同社によると、「プラスチック筐体を採用した直方体の電力用フィルムコンデンサーは、カスタム品であれば競合他社も市場に投入しているが、標準品として製品化するのは今回が初めて」という。

 新製品の電極の形状は、IGBTモジュールとの接続を想定して設計した。具体的には、IGBTモジュールに新製品を重ねるだけで電気的な接続を確保できるようにした。これで、IGBTモジュールに極めて近接してコンデンサーを配置できるため、寄生インダクタンスを最小限に抑えられる。一方、円筒の同社従来品は、ネジ端子を採用しており、バスバーを介してIGBTモジュールと接続する必要があった。このため、近接して配置することが難しく、寄生インダクタンスが大きくなっていたという。

 新製品の筐体の内部には、底面の形状が円から楕円になるように押しつぶしたコンデンサー素子を8個収めており、筐体と各コンデンサー素子の間にできるすき間にはポリウレタンを充填した。コンデンサー素子の両側にはプラスとマイナスの集電体を取り付け、その集電体がプラスチック筐体の上部に用意したプラス電極とマイナス電極につながっている。なお、フィルムコンデンサーの等価直列インダクタンス(ESL)は14nHと小さいので、電流遮断時にIGBTモジュールで発生する電圧のオーバーシュートを抑えられる。スナバーコンデンサーの外付けは不要という。

 このほかにも特徴が2つある。1つは、最大動作温度が+90℃と高いこと。円筒型の同社従来品は+75℃だった。もう1つは、等価直列抵抗(ESR)の個体間のばらつきを抑えたことである。

 誘電体材料にはポリプロプレンを採用した。定格電圧や定格電流、静電容量、外形寸法などの違いで複数の製品を用意した。定格電圧の範囲は1100~2300V。定格電流の範囲は105~108A。静電容量の範囲は365μ~2525μFの範囲。外形寸法は、243mm×169.5mm×90mmと258mm×215mm×115mmの2種類がある。寿命は20万時間を確保した。プラスチック筐体は、難燃性に関する標準規格「UL94 V-0」に準拠する。このほか、電力用コンデンサーに関する標準規格「IEC 61071」や鉄道車両の電力用コンデンサーに関する標準規格「IEC 61881-1」、鉄道用部品/材料に関する欧州規格「EN 45545-2 HL3 R23」をクリアする。価格は明らかにしていない。

 なお同社は、パワー半導体にSiCパワーMOSFETを使う大型インバーターのDCリンク向けフィルムコンデンサー「HFシリーズ」の開発を進めている。ただし、製品化時期は未定である。