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 NTTは2020年11月17日、同社の研究開発の成果を紹介する展示会「NTT R&Dフォーラム2020」で、無人の農業用トラクターを、広い地域で安定的に遠隔監視できるシステムを展示した()。人手不足が課題となっている農業分野への導入を想定する。NTTが2030年代の商用化を目標に掲げる次世代情報通信基盤である「IOWN(アイオン)」関連技術などを用いることで実現した。「2023年までに実用化したい」とNTT研究企画部門食農プロデュース担当部長の久住嘉和氏は語る。

図 キャリア5Gとローカル5Gや地域BWA( 広帯域移動無線アクセス)をシームレスに切り替えて自動走行できる
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図 キャリア5Gとローカル5Gや地域BWA( 広帯域移動無線アクセス)をシームレスに切り替えて自動走行できる
(出所:NTT)

 NTTと北海道大学などが開発したのは、無人で自動走行するトラクターなどを安全に遠隔監視できるシステムだ。トラクターに取り付けたカメラ映像を、大容量通信が可能な5G(第5世代移動通信システム)などを使って遠隔地に伝送。無人トラクターの周囲に危険な状況がないかなどを遠隔監視する。

 2019年から取り組みをすすめる中、課題として浮上してきたのが広い農場を自動運転する無人トラクターを監視するにあたって、携帯電話のエリア外となるケースが想定される点だ。通信が途切れると、映像が乱れたり止まったりしてしまう。

 そこで今回、携帯電話事業者の5Gがエリア外になった場合、ローカル5Gや地域BWA(広帯域無線アクセス)など別のネットワークに自動的に切り替え、途切れない通信を実現した。例えば、携帯電話事業者の5Gの通信環境が不安定になることをAI(人工知能)が予測し、ローカル5Gなどの異なる通信方式に自動的に切り替える。安定的な通信環境でのリアルタイム監視を可能にすることで、無人走行の安全性を高めた。

 同システムのAI予測技術などはIOWN関連技術を活用した。同社などは今後、画像認識技術を応用することで、無人トラクターが通信エリア圏外でも自動走行できる技術を20年11月下旬に実証するという。「23年までのシステムの実用化を目指し、建設機械や物流システムへの応用も視野に入れたい」と久住氏は語る。