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 米Texas Instruments(TI)は、GaN(窒化ガリウム) FETやゲートドライバー、保護回路などを1チップに集積した車載用電源ICを2製品発売した(ニュースリリース)。車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠する。電気自動車(EV)やハイブリッド車などに搭載するオンボード充電器やDC-DCコンバーターに向ける。

GaN FETやゲートドライバー、保護回路などを1チップに集積した車載用電源ICの応用例
GaN FETやゲートドライバー、保護回路などを1チップに集積した車載用電源ICの応用例
TIのイメージ
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 同社独自の「GaN on Si」技術で製造した。1枚のSi基板上にGaN薄膜を成長させてGaN FETを作り込んだ。さらに、その周囲のSi基板に直接、ゲートドライバーや保護回路、温度モニター回路などを集積した。この構成を採ることで、GaN FETとSiゲートドライバーを極めて近接して配置できる。このため両者を接続する配線の寄生インダクタンス(ゲート・ループ・インダクタンス)は最大2.5nHに抑えられ、GaN FETを高速に駆動できるようになる。ゲート駆動電圧のスルーレートは最大150V/nsと極めて高い。

新製品の内部ブロック図
新製品の内部ブロック図
TIの資料
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 発売した2製品は「LMG3522R030-Q1/LMG3525R030-Q1」である。どちらも耐圧は+650Vで、オン抵抗は30mΩと低い。スイッチング周波数は2.2MHzと高いため、新製品を使ってオンボード充電器や車載用DC-DCコンバーターを構成した場合、「SiパワーデバイスやSiCパワーデバイスを使った従来回路と比べると、外付けインダクター(磁気部品)の体積を59%削減でき、回路全体の体積を50%削減できる」(同社)という。ゲート駆動電圧のスルーレートは30~150V/μsの範囲で設定できる。このためトレードオフ関係にあるスイッチング特性と放射電磁雑音(EMI)をユーザーが調整可能である。

 LMG3522R030-Q1とLMG3525R030-Q1の違いは、逆方向に電流が流れる場合(第3象限)の電力損失を抑える理想ダイオードモードの有無にある。LMG3522R030-Q1は搭載していないが、LMG3525R030-Q1には搭載した。パッケージはいずれも、実装面積が12mm×12mmの54端子VQFN。量産前バージョン品と評価モジュールの出荷は、2021年第1四半期に開始する予定。価格は明らかにしていない。

 このほか、+600V耐圧の電源IC「LMG342xR030/LMG342xR050」を併せて発売した。+600V耐圧品は、AEC-Q100には準拠していない。産業機器向けであり、EVの充電ステーションのほか、データセンター機器や5G(第5世代移動通信システム)対応通信機器などの電源などに使える。

 オン抵抗はLMG342xR030が30mΩ(標準値)、LMG342xR050が50mΩ(標準値)。スイッチング周波数は、LMG342xR030が2.2MHz、LMG342xR050が3.6MHzである。新製品を使って、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路を構成した場合、「Siパワーデバイスを使った従来回路に比べて、出力電力密度は約2倍に高められ、変換効率は99%が得られる」(同社)という。ゲート駆動電圧のスルーレートは30~150V/μsの範囲で設定できる。

 LMG342xR030とLMG342xR050ではどちらにも、理想ダイオードモードを搭載する製品と搭載しない製品を用意した。搭載する製品はLMG3425R030とLMG3425R050、搭載しない製品はLMG3422R030とLMG3422R050である。パッケージはいずれも、実装面積が12mm×12mmの54端子VQFN。量産前バージョン品の1000個購入時の参考単価は下表の通り。量産出荷は2021年第1四半期に開始する予定。評価モジュールも用意している。

+600V耐圧品の参考単価
+600V耐圧品の参考単価
TIの資料
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