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 中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2020年11月13日、同社主催のイベント「Global Mobile Broadband Forum 2020」(2020年11月12~13日、中国・上海)にて、同社業務執行取締役David Wang氏による「Defining 5.5G for a Better, Intelligent World(よりよい知的社会に向けた5.5Gの提唱)」と題した基調講演を行った(Huaweiのニュースリリース)。5.5Gを5Gの進化系と位置づけ、リアルタイムな意思疎通やセルラーIoTの強化など、さまざまなシナリオが実現する世界を「よりよい知的社会」としている。

出所:Huawei Technologies
出所:Huawei Technologies
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 5G以前の移動通信技術では、1つの世代が約10年間にわたって主導権を握ってきた。5Gは今後、2030年まで主要な移動通信技術であり続け、そのサービスは2040年まで続くと考えられる。その可能性を最大限に引き出し、発展させるためには、過去30年の2G、3G、4G開発の歴史が示すように、継続的な進化が必要となる。

 2030年までに、5Gは人々の仮想世界内でのリアルタイムな意思疎通を支援し、ますます実体験に近い体験を提供するようになる。だが、そのためには、さらなる高速通信が必要となる。平均アクセス速度としては、現在の4G動画ストリーミング時の120Mビット/秒から、16K動画に必要な2Gビット/秒に、遅延時間も現在の20ミリ秒から5ミリ秒に縮める必要がある。

 モノ同士をつなぐことも5Gの重要な課題となる。移動通信ネットワークによる接続は、現在の13億件から1000億件超に増え、そのほとんどが5Gによるものとなる。5Gは、あらゆるシナリオにおけるIoTの多様で複雑なニーズを満たすためにも、進化し続ける必要があるのだ。

 そこで、5Gによる社会と産業の発展を支援し、新しい価値を創造する手段として、5.5Gを提案する。

 デジタル化が加速するにつれ、IoTにも多様なユースケースが出現し、5Gのユースケースも多様化していく。大規模機器接続と同時に、広域な上りリンク通信が必要になる事例や、さらなる感知能力を必要とする事例もあるだろう。従って、5.5Gでは、5Gに3つのシナリオを加える。UCBC(Uplink Centric Broadband Communication)、RTBC(Real-Time Broadband Communication)、HCS(HUAWEI CLOUD Stack)がそれに当たる。

  • UCBCは5G機能を基盤とし、上りリンク帯域幅を10倍に拡大するもの。機械目線からの動画や大規模ブロードバンドIoT動画のアップロードなどに適しており、産業のデジタル化を強力に支援する。カバレッジの広域化と組み合わせることで、屋内におけるユーザー体験を大幅に改善できる。
  • RTBCは、高信頼低遅延な環境下での、10倍の帯域幅拡大を実現する。これにより、より没入感の高い仮想通信が可能となる。
  • HCSはコネクテッドカーやコネクテッドドローンの自動運転を目的に設計されたものである。センシング領域にMassive MIMOのビーム走査技術を適用することにより、通信とセンシング機能の両方を実現。屋内では、位置サービスも提供可能となる。
  • 上りリンクへの十分な帯域幅提供や上りリンクと下りリンクの分離制御、帯域幅全体を使ったキャリアアグリゲーション(CA)などに向けて、サブ100(100GHz未満の周波数帯)の活用も検討する。
  • 5G時代には、これまでのどの世代よりも多くの周波数帯や端末、サービスが登場し、さまざまな顧客への対応が必要となる。5.5GではAIと完全に統合して、これらの複雑さに対処する。

 以上を踏まえ、Huaweiは5.5Gに関して次の3点を提案する。

 (1)3GPPフレームワーク内での5.5G対応を可能な限り早期に開始すること

 (2)多彩なネットワーク機能や機器を提供する5.5G産業エコシステム推進に向け、サブ100を最大限に活用する協業を進めること

 (3)さまざまなユースケースと知的なDXの実現に向けて、より高度な5Gを各種業界に提供していくこと