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 東京都市大学は、設置場所に合った仕様の空気清浄装置を短時間で設計する手法を開発したと発表した。理工学部電気電子通信工学科教授の江原由泰氏らの研究成果だ。自動車や航空機の設計に用いられる流体力学的な手法を取り入れたもので、従来より設計期間を縮められる(図1)。家庭用空気清浄装置の他、個別の設計が求められる舶用エンジン向け空気清浄装置の設計にも適用できるという。

図1:新手法の概要
図1:新手法の概要
(出所:東京都市大学)
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 新開発の手法は、空気を取り込んだ際に花粉や臭気物質などの微小粒子を放電プラズマによって帯電させ、電気的に集塵する方式の空気清浄装置に対応する。電機メーカーの協力を得て、自動車や航空機の風洞実験で用いる粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry:PIV)を応用し、流体にレーザーを当てて高速度カメラで動きを捉える技術を組み込んだ(図2・3)。これによって粒子挙動シミュレーションの精度が高まり、試作や装置設計の回数を従来の半分程度に減らせる見込みだ。

図2:放電プラズマによる帯電シミュレーションの様子
図2:放電プラズマによる帯電シミュレーションの様子
(出所:東京都市大学)
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図3:PIV解析を応用して捉えた微小粒子の動き
図3:PIV解析を応用して捉えた微小粒子の動き
(出所:東京都市大学)
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 放電プラズマを利用する方式は、家庭用の空気清浄装置やエアコンに採用されている。研究チームによると、その効果を最大化させるには微小粒子の動きに合った装置を設計するのが望ましいが、微小粒子の挙動は複雑で把握が難しい。そのため従来、空気清浄装置の設計は、簡易的なシミュレーションで微小粒子の動きを予測して装置を試作・実験し、その結果を設計にフィードバックする手順を踏んでいる。新手法によって高精度な予測が可能となったので、装置の品質向上と開発期間の短縮、コスト低減が期待できるという。

 実験室では、新手法を用いて実用機の設計レベルで理論除去率を導き出し、装置の最適形状や稼働条件を決定できることを確認した。新手法を使えば、設置する場所に合わせて異なる仕様の空気清浄装置を短時間で設計できる。定型の空気清浄装置を造る場合は、最適な設置環境を選べるとしている。

 併せて研究チームは、電機メーカーと共同で舶用エンジン向け空気清浄装置の設計についても研究を進めている。舶用エンジンは燃料に重油を使うため、排出する煤(すす)や窒素酸化物を除去するニーズがあり、空気清浄装置を取り付ける検討が進んでいるという。