キヤノンエコロジーインダストリー(茨城県坂東市)は、リサイクルプラスチックを100%使用した3Dプリンター用フィラメント2種類を開発した。市場から回収したキヤノン製複合機の外装やカセットペディスタル(カセット台)を活用し、ポリカーボネート(PC)+アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)フィラメントと耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)フィラメントを製造する。
PC+ABSフィラメントは複合機の外装カバーなどを原料とする(図)。高い強度と耐熱性が特徴で、最終部品や治具の作製、工業用部品の試作に向く。一方のHIPSフィラメントは、複合機のカセットペディスタルなどから製造する。HIPSはPSにゴムを配合して耐衝撃性を高めたもの。HIPSはリモネンに溶けやすいので、PC+ABSフィラメントをメイン材料に、HIPSフィラメントをサポート材に用いれば、複雑な形状の造形物も造りやすい。
いずれも、回収した複合機から必要なプラスチック部品を取り出して破砕・洗浄した後、押出成形でフィラメントを製造する。線径は1.75mmで、1巻当たりの質量は750g。
同社は、キヤノン製複合機やトナーカートリッジ、インクジェットカートリッジのプラスチックをキヤノン製品に戻す資源循環事業を手がけている。3Dプリンター用フィラメントは、リサイクルプラスチックのキヤノン製品以外の用途として、同社が初めて企画・開発したという。