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 日立製作所とがん研究会有明病院は、がん薬物療法中の患者の体調や副作用状況などの事前確認にタブレット端末を活用した評価研究を2020年11月末に開始する。外来診療の前に患者の状態を把握することで、より適切な治療の提供をサポートするとともに、医療従事者の負担軽減を目指す。

タブレット端末に表示されたロボット型のキャラクターが副作用に関する質問をする(出所:日立製作所)
タブレット端末に表示されたロボット型のキャラクターが副作用に関する質問をする(出所:日立製作所)
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 第1段階として、外来で薬物療法を受ける大腸がんの患者を対象に評価研究を実施する。これまで診察の待ち時間に薬剤師が行っていた抗がん剤の副作用発症状況の確認をタブレット端末で行う。タブレット端末に表示されたロボット型のキャラクターが副作用に関する質問を読み上げ、患者がタッチパネルに触れて回答する。問診結果は病院内のサーバーに保管され、薬剤師はその結果をパソコンで確認し、対面による問診が必要かどうか判断する。

 また、外来当日の血液検査などの検査結果も含めて、患者の状態に関する情報をAI(人工知能)で分析する。その結果から、副作用の影響で当日の治療に注意が必要な患者や、抗がん剤の投与を見合わせた方が良い患者などに分類し、副作用の見逃しを防止する仕組みを構築する。さらに、分析結果を薬剤師や医師、看護師などの医療従事者が情報共有できる仕組みの検証を行うほか、対象となるがんを今後増やしていく。

 第2段階では、問診中の顔の表情といった生体情報なども含めた分析の仕組みの構築・検証を計画している。こうした取り組みによって、薬剤師が患者の問診に要する時間を短縮して業務負担を軽減するとともに、患者の状態に合わせた治療を実施して副作用の軽減を図る。さらに、当日の体調と副作用の発現の傾向を分析し、副作用の少ない治療法の検討にも役立てていく。

 日立製作所とがん研有明病院は、2018年度から実施している戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の事業「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発プロジェクトに参画している。今回の評価研究は、その取り組みの1つになる。両者は今後も、AIやロボットなどの最新技術を医療に活用するため協力していく。