日本語環境で利用できるLinuxディストリビューションの開発企業として1990年代後半から2000年代前半にかけて一世を風靡したターボリナックスを設立したクリフ・ミラー氏。IT業界にも顔が広いミラー氏だが、別業界に身を置いている。なぜ表舞台から去ったのか。現在は米ハワイに住むミラー氏に聞いた。
日本でミラーさんのお名前を見ることがなくなりました。今は何をしているのですか。
今はハワイに住んでいて、オーディオブックの会社トゥルーレイク(TrueLake)を立ち上げています。パソコンやスマートフォンなどで聞く本です。小説が多いけどビジネス系もあります。個人だけでなく、4万の図書館、学校や団体などへのチャネルを持っています。中国語、英語を中心に世界で数百冊提供しています。
市場としては中国や世界各地の華僑にフォーカスしています。コンテンツとしてはアメリカの作家スティーブン・キングのホラー小説の「IT(イット)」があります。ITは映画にもなっています。ライセンスを取得して中国語版のオーディオブックを作っています。ダヴィンチコードで有名なダン・ブラウンの作品のオーディオブックも手がけています。このほか中国本土の人気の作者の作品もあります。日本の落語(評書「ピンシュー」という)にあたるものも多く手がけています。
なぜオーディオブックを新たなビジネスに選んだのですか?
2013年にリタイアしたのですが、それから小説を書きだしました。英語と日本語、そして中国語も出しました。これを中国で出版したいと思ったのですが、どうマーケティングしていくのかと考えたとき、オーディオブックがいいと思いついたのです。
オーディオブックの販売プラットフォームに乗せることで売っていくことができるのではないかと。市場としても大きくなるのではないかと思いました。これまで忙しくてできなかったのですが、今ならできる。オーディオブックだけでなく、電子書籍やビデオも手がけています。