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当時は米レッドハットと競う存在でもありました。

 ターボリナックスの強みは日本語など2バイト言語の扱い、そして直感的なユーザーインターフェースやインストールのしやすさでした。そこで、日本、中国、韓国などアジアのビジネスが伸びていきました。リナックスで収益化した最初の会社の1つではないでしょうか。数年間で100万ユーザーを超え、世界の3大Linuxディストリビューターの1つになりました。

 ビジネス向けのパッケージも出して、ソフトウエア流通を手がけていたソフトバンクには取引先3000社のなかで最も成長するトップ3社にも入っていました。

レッドハットから数百億規模の買収提案

 実は私がターボリナックスを離れた後、レッドハットからターボリナックスに数百億円規模の買収提案がありました。2001年のことです。まだ筆頭株主だった私とアイリスは提案に賛成でした。しかし当時の経営陣や投資家は断ってしまった。さらに私たちが会社を出る前に調達した1億ドル(約105億円)を、当時の経営陣は2年もたたないうちに使い果たしてしまい、事業が立ちいかなくなりました。その後2002年に日本のテクノロジー会社のSRAがターボリナックスを買収し、2年後にライブドア(当時)に売却しています。

ターボリナックスをやめて米シリコンバレーに新会社を立ち上げました。

 こうした経緯で、2000年の後半に私とアイリスはターボリナックスを離れて、マウンテンビューデータを米シリコンバレーに設立しました。新たにLinuxのハイパフォーマンスコンピューティングに取り組みたいと思ったからです。最終的にマウンテンビューデータはNECなどに事業ごとに売却しましたが、中国の北京や東京にも拠点を構えるなど成長することができました。

もう一度Linux業界に戻ってくる考えはありませんか?

 今は63歳で、毎朝仕事に取り掛かる前に、ハワイの海岸でサーフィンをやっているような生活です。オーディオブックのトゥルーレイクの仕事はハイテクではなく出版業界の仕事です。どちらかというと“ローテック“で、今の私に合っています。今でもPythonをいじってプログラミングすることもありますが、本格的なソフトウエア開発は若い人に頑張ってもらいたいですね。

ハワイでサーフィンを楽しむミラー氏。ボードの自作にも取り組んでおり、このボードには3人の子供の写真をデザインしている
ハワイでサーフィンを楽しむミラー氏。ボードの自作にも取り組んでおり、このボードには3人の子供の写真をデザインしている
(写真:クリフ・ミラー氏提供)
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 Linuxの開発者やコミュニティーは、様々な世界と連携し、オープンに様々な知見を共有するように発展していますね。Linuxベースの製品を開発したいという企業にアドバイスをすることがあります。また、日本や中国、米国に進出したいという企業を支援することもあります。例えば、マウンテンビューデータの後、スプラッシュトップというリモートデスクトップの会社に携わるなどしました。

最後に日本の読者にコメントをいただけませんか

 Linuxで日本の方と多くの関係がありましたし、今も交友があります。日本人はまじめで正直で損をしていると言われることがありますが、そうは思いません。そうした誠実さが世界で認められていることが重要なことだと思います。

 オーディオブックのトゥルーレイクでは今後、教育分野、言語習得などにも取り組んでいきたいので、新しい技術を開発する可能性もあると思っています。また、日本の皆様とお会いできることができればうれしいです。