PR

 突出した生産技術を持つ中小企業などが出展する「ものづくり精鋭技術コレクションTOKYO」(東京都立産業貿易センター浜松町館、2020年11月26、27日、オンラインレビューは12月1~10日)が始まった。3~5μmの摩耗をレーザー肉盛りで回復する鍛造用金型技術、3μmの微粒子を混ぜた水で接着性や密着性を向上する技術、空間分解能5μmのX線CTによる非破壊検査のサービスといった、微細技術に関わる出展が多く見られた。初日午前中に開催された特別講演では、十数μmの微細な突起を作製して超撥水(はっすい)性を持たせた塗料の開発について、物質・材料研究機構が講演した。

 冷間鍛造のマツダ(大阪市)は、展示テーブルの一角に超硬合金製金型部品の摩耗をレーザー肉盛り技術で補修する技術について出展。冷間鍛造用の金型部品は3~5μm程度の摩耗でも使えなくなって廃棄・交換の必要が生じるところを、補修して再利用すれば金型のコストを低減でき、結果として成形品である冷間鍛造製品のコストを下げられる。「摩耗するのはごく一部なので、そこさえ補修すれば高価な超硬合金製の金型部品を交換せずに済む」(同社)

図1 超硬合金のレーザー肉盛りで補修した金型部品
図1 超硬合金のレーザー肉盛りで補修した金型部品
先端の変色部分が補修したところ(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 プラズマによるジェット流で粉末材料を吹き付けるプラズマ溶射にレーザー照射を併用する方法で、摩耗部分に超硬合金の被膜を形成し、研磨して仕上げる。レーザーを併用すると、従来のプラズマ溶射よりも空隙や欠陥が少ない被膜を造れるため、補修後の部品に十分な耐久性を持たせられる。基材を安価な金属材料で造っておき、表面のみを超硬合金にして部品コストを下げるのにも利用可能としている。

 表面処理のマコー(新潟県長岡市)は、水に微細な粒子を混ぜたスラリーを吹き付けるウェットブラスト技術を出展。粒径3μmとかなり微細なアルミナ粉末を使ったスラリーで表面処理すると、極めて微細な凹凸ができて表面積が増える。接着工程の下地処理などに利用すると、接着剤が凹凸に入り込んで接着性が向上する。ガラスに対して3μmの粒子で処理した上で化学薬品による防眩(ぼうげん)処理を加えると、裏からの光の透過を妨げない一方で、表からの光を乱反射して像として映り込まないようにでき、見やすいディスプレーなどに応用可能という。

 KRI(京都市)は、「ここ4~5年で解像度が大きく向上した」(同社)というX線CT装置による非破壊検査のサービスを紹介。劣化した電池の内部の状況や、ガラス繊維強化樹脂の繊維の配向状況などの画像を展示した。金属や樹脂部品の内部欠陥などが非破壊でよく分かるという。「大型の広い範囲を見る装置と、細部を詳細に見る装置を適切に組み合わせてコーディネートできる」(KRI)としている。

図2 X線CTによる非破壊検査のサービスについて展示するKRIのブース
図2 X線CTによる非破壊検査のサービスについて展示するKRIのブース
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 特別講演には物質・材料研究機構統合型材料開発・情報基盤部門データ駆動高分子設計グループの内藤昌信氏が登壇。水滴の接触角が150度以上になる超撥水性を備えた材料の開発について説明した。空気を通して水を通さない部材を実現できるとして、目の細かい金網製の“茶こし”に開発材料を塗って、スプーンのように水をためられる様子をビデオで紹介。この水にアルコールを加えて表面張力を弱めると、金網を通って水が落ちる様子も見せた。

図3 特別講演で説明する物質・材料研究機構の内藤昌信氏
図3 特別講演で説明する物質・材料研究機構の内藤昌信氏
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]