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 米Salesforce.com(セールスフォース・ドットコム)は2020年12月1日(現地時間)、米Slack Technologies(スラック・テクノロジーズ)を買収することで合意したと発表した。取引総額は277億ドル(約2兆9000億円に相当)になる。セールスフォースはCRM(顧客関係管理)サービスの新たなユーザーインターフェース(UI)として、スラックのメッセージサービス「Slack」を連携させていく考えだ。

 セールスフォースはSlackをCRMスイートである「Salesforce Customer 360」の新しいUIにするとしている。Slackを全社のビジネス部門で利用する流れができるほか、社外との連携もしやすくなる。Slackは組織の内外のユーザーとメッセージで情報を共有できるため、新型コロナウイルスの感染拡大で広まったリモートワークの時代に適していると言える。

 スラックは米Microsoft(マイクロソフト、MS)のコミュニケーションツール「Microsoft Teams」との競争が激化している。スラックはMSが2016年にTeamsを発表した際に「Dear Microsoft」との全面広告を出して、“挑戦者”を歓迎し、Slackの優位性を訴えた。しかし、企業向けのサービスやクラウドで規模に勝るTeamsに押され、Slackはエンジニアやテクノロジー企業が主体として利用するものから抜け出すことができなかった。

 Slackは全世界で約14万社が利用している。スラックはユーザー数を公表していないが、1000万以上のユーザー規模を持つとみられる。一方、Teamsは20年10月末時点で1日当たり1億1500万ユーザーが利用しており、その差は大きい。そのため20年夏にはスラックが欧州委員会に、MSがオフィススイートなどでの市場独占力を乱用していると訴えるなどしていた。

 セールスフォースのほか、20年11月30日、メッセンジャーで高いシェアを持つ米フェイスブックがCRMサービススタートアップの米Kustomerの買収を発表している。米テクノロジー各社は新常態時代のBtoB戦略を実行に移し始めている。

 セールスフォースは今回のスラックとの取引について現金と株式交換で支払い、21年5〜7月期に手続きを完了する計画。