配車サービス最大手の米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)が、「空飛ぶタクシー(空のライドシェア)」の研究開発部門の売却に向けて交渉中だと米メディアの「Axios」が2020年12月2日(現地時間)に報じた。日経クロステックが同部門の幹部に確認したところ、明確に肯定しなかったものの、暗に事実だとほのめかした。Axiosによれば、売却の交渉相手は米国の新興企業Joby Aviationで、12月下旬に正式に発表する可能性があるという。

 Jobyは「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動の垂直離着陸(eVTOL)機のメーカーで、Uberが23年に開始を目指していた空の移動サービス「Uber Air」の機体開発パートナーである。20年1月にトヨタ自動車から400億円を超える出資を得たことで注目を集めた。

JobyのeVTOL機
JobyのeVTOL機
(出所:Joby Aviation)
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 新型コロナウイルスの感染拡大と、その抑制のために講じられた外出制限によって、配車需要が激減し、Uberの業績は一気に悪化した。料理宅配サービス「Uber Eats」は業績を伸ばしているものの、配車需要はコロナ禍前の水準に戻らず苦境にある。このため、空飛ぶタクシーの研究開発部門を売却すると噂されていた。

 もともとUberは、eVTOL機を利用した移動サービス実現に向けて、「Uber Elevate」というプロジェクトを2016年に立ち上げた。その後、商用サービスとしてUber Airを正式に発表。20年の実証試験、23年のサービス開始を目指していた。その候補が米国のダラスとロサンゼルス、オーストラリア・メルボルンの3都市だった。

 それがコロナ禍によって頓挫。20年12月になっても実証試験開始のアナウンスがなく、実現が危ぶまれていた。米国で新型コロナウイルスの感染が深刻化する前、20年初頭の時点では、同年秋ごろに、Uber Elevateのイベントを開催するとともに、実証試験の様子を披露する予定だったとされる。機体開発パートナーは8社。そのうち、実証試験に利用される機体は完成度が高いとされるJoby製だと目されていた。そのため、売却先がJobyになるのは、自然な流れといえるだろう。