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 TDKは、−55〜+150℃と広い温度範囲で使える車載機器向けNTCサーミスター「NTCSPシリーズ」を発売した(ニュースリリース)。導電性接着剤によるプリント基板実装を可能にすることで、−55〜+150℃と広い温度範囲での使用を可能にした。導電性接着剤での実装が可能なNTCサーミスターを同社が製品化するのは今回が初めて。車載用受動部品の品質規格「AEC-Q200」に準拠する。温度検知回路や温度補償回路などに使える。具体的な応用先は、アンチ・ブレーキ・システム(ABS)やトランスミッション制御、エンジン制御などに向けたECU(電子制御ユニット)やIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)である。

−55〜+150℃と広い温度範囲で使える車載機器向けNTCサーミスター
−55〜+150℃と広い温度範囲で使える車載機器向けNTCサーミスター
TDKの写真
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NTCサーミスターの製品ラインアップ
NTCサーミスターの製品ラインアップ
TDKの資料
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 同社の既存のNTCサーミスター「NTCGシリーズ」は、はんだで実装する製品だけだった。端子電極はAg。その表面にNiめっきとSnめっきを施すことではんだ実装を可能にしていた。今回は、端子電極をAgPdに替えることで導電性接着剤による基板実装を可能にした。新製品の内部構造は、はんだ実装対応品と同じである。具体的には、半導体セラミックとPd電極を積層した構造である。電極の重なり面積や、電極間距離を制御することで、抵抗値が異なるさまざまな製品を実現できる。

新製品と同社従来品の構造
新製品と同社従来品の構造
TDKの資料
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 はんだ実装の既存製品では、使用温度範囲は−40〜+150℃だった。「はんだ実装では、はんだ材料と基板材料の線膨張係数の差が大きいため、−55〜+150℃での熱衝撃試験(低温状態と高温状態に交互にさらす試験)をクリアできなかった。接続不良が発生する危険性があったためだ。導電性接着剤を使えば、これがバッファーの役割を果たし、線膨張係数の差の問題を解決できる。新製品では、使用温度範囲の下限値が低くなり、−55〜+150℃での熱衝撃試験をクリアすることを可能にした。車載機器の長寿命化につながる」(同社)。また、導電性接着剤で実装できるため、金属リードフレーム上への実装や、実装後のフラックス洗浄が難しい基板への実装を可能にしたという。

 外形寸法が異なる2つの品種を用意した。1つは、1.0mm×0.5mm×0.5mm(1005サイズ)品。もう1つは1.6mm×0.8mm×0.8mm(1608サイズ)品である。それぞれの品種に、+25℃における抵抗値が異なる3つの製品をそろえた。具体的には10kΩ品と47kΩ品、100kΩ品である。最大定格電力やB定数などの主な仕様は下表の通りである。すでに、月産200万個規模で量産を始めている。サンプル単価は15円(税別)である。

新製品の主な仕様
新製品の主な仕様
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 今後同社は、NTCSPシリーズの品ぞろえを拡充する予定だ。外形寸法や抵抗値が異なる製品を順次投入する計画である。また「車載機器メーカーを中心に、使用温度範囲の上限値を+175℃や+200℃に高めてほしいという要求が相次いでいる」(同社)ことから、これに応えるための開発も進めているとする。「早ければ、使用温度範囲の上限値を高めた製品を2021年中に市場に投入できるだろう」(同社)。